騙されないで!-ランサムウェア対策に”特効薬”はありません
2025.10.29 経営のヒント セキュリティ BCP・停電×通信 管理人

“騙されない”ランサムウェア対策—経営の型「止める・守る・再開する」
魔法の箱や“最新OS”は特効薬ではありません。経営が決めるのは、復旧目標と優先順位。
現場で活用できる最小安全セットと、非推奨の判断を明らかにします。
1. 騙されないための3原則
原則1「すぐ効く万能薬」は存在しません。 UTMやOS更新は重要でも、単体では被害シナリオを変えることはできません。
原則2経営が決めるのはRTO(目標復旧時間=Recovery Time Objective)/RPO(目標復旧時点=Recovery Point Objective)と優先復旧順。 技術より先に、いつまでに・何を再開するかを合意する。
原則3運用が回らない対策=無いのと同じ。 現場で“誰が・何分で・どの手順で”を紙で持つこと。
2. 経営の型:止める・守る・再開する
2-1. 止める(拡散を止める)
- 侵入想定で 管理者アカウントの分離 と MFA(多要素認証) を標準化。
- ネット分割(業務/管理/来客) と共有ID廃止。ログは最低90日保持。
- ローテク初動:異常時はいったんネットを外して起動→状況確認→段階復旧。
2-2. 守る(失って困るものを守る)
- バックアップ3-2-1(3世代・2媒体・1つはオフサイト/オフライン)。可能ならイミュータブル保管。
- 月1回のリストア訓練。復元時間=実力値。
- 重要端末は常時インバーター給電で安全停止を担保(瞬断で壊さない)。
2-3. 再開する(予定通りに戻す)
- RTO/RPOを業務ごとに数値化。
- 代替手順(紙伝票・代替端末・コールツリー)を印刷保管。
- 通信の二重化(固定回線+衛星/無線)で連絡手段を確保。
3. 最小安全セット(今日からできる)
- 特権IDの棚卸しとMFA化(経営者ふくむ)。
- バックアップ3-2-1を今週中に整備/来週復元テスト。
- 社内の優先復旧リストTOP10を紙で作る(RTO/RPO記入)。
- 非常時はまずネットを切って安全起動—初動手順を掲示。
- 電源の瞬断対策(常時インバーターUPS)でPC/サーバ/通信を安全停止。
4. よくある“非推奨”
- 「最新OS+UTMを買えば安心」—運用が無ければ形骸化。
- 共有ID/全員ローカル管理者—痕跡が追えず拡散が速い。
- バックアップはあるが復元テストゼロ。
- リモート監視なしで「気づけない」。
5. 経営者チェックリスト(保存版)
- RTO/RPOを業務ごとに数値で決めた/合意した。
- 優先復旧リストTOP10が紙で社内にある。
- 特権IDは人名紐づけ・MFA必須・共有ID廃止。
- バックアップ3-2-1+復元訓練(月1)実施。
- ネット分割(業務/管理/来客)・ログ90日。
- 初動手順「まずネットを切る」を掲示済み。
- PC/サーバ/通信の無瞬停化で安全停止ができる。
- 通信は二重化(固定+代替回線)。
- 紙運用・代替端末・連絡網の準備がある。
- 四半期ごとに経営レビューを実施。
6. 補足:電源と通信のBCP
ITだけでなく電源と通信が止まると、復旧の土台が消えます。常時インバーター給電の可搬型大容量UPS×CVCF=パーソナルエナジー・ポータブル(PEP)で無瞬停化し、固定回線が死んでも衛星等で連絡線を確保すると、再開手順が安定します。採否は費用対効果で判断してください。
7. 参考:信頼できる外部情報
- UK NCSC|マルウェア/ランサムウェア対策 — 「完全に防ぐ方法はない。多層防御を採用せよ」
- JPCERT/CC|ランサムウェア対策特設 — 予防・被害低減策を“多重的”に行う必要
- NIST SP 800-41|ファイアウォール指針 — ネットワークFWには限界があり、全攻撃は検知できない=多層防御を
- ACSC(豪)|Essential Eight — 「どの対策セットでも全インシデントを防げない」→成熟度に応じて多層化
- UK NCSC|“壊されにくい”バックアップ原則 — オフサイト/イミュータブル等を明示
- NCSC-NL(蘭)|経営層向けIR計画 — 初動・封じ込め・復旧の経営判断を整理
8. よくある質問(FAQ)
UTMや最新OSを導入すれば十分ですか?
最初の一歩は何から始めるべき?
停電・瞬断はセキュリティと関係ありますか?
まずは自主点検から
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