配車を止めない—地域密着タクシー事業者が市民の足であり続けるための「電源×通信」の新設計

2025.11.05 交通・物流 BCP・レジリエンス 管理人

配車を止めない|地域密着タクシーが市民の足であり続けるための電源×通信|パーソナルエナジー・ポータブル

株式会社Re ・ 読了目安:約7分
© Re 2025 執筆:株式会社Re|髙橋

配車を止めない—地域密着タクシー事業者が市民の足であり続けるための「電源×通信」の新設計

※本稿は規模の大小ではなく、現場の運用連続性という観点から整理しています。末端と通信まで保護範囲を広げる“設計転換”をご提案します。

1|現状分析(据置型UPS設置の場合)と、なお残るリスク

現状分析|据置型UPSの強み

  • 常時インバータで瞬断・電圧変動に強く、負荷品質を一定に維持。
  • 大容量・高出力でサーバールームやPBXラックなど“基幹”を一括保護。
  • 自家発電機との親和性が高く、保守運用の標準化が進めやすい。

それでも発生し得るリスク——保護範囲が“基幹”に偏ると、配車の現場動線にすき間が生まれます。

  • 末端無保護:PBX/SIP/FW/ルータ/PoE/NVR/配車PCなどが瞬停・瞬断の影響を受けやすい。
  • 回線単一:光1本や災害時ふくそう対策不足で、輻輳・断線・計画工事時の受付停止リスク。
  • 電話待機系不足:PBXやクラウドPBX障害時の受電ゼロを想定した切替手順・待機番号が未整備。
  • 監視・通知の薄さ:電源・回線の状態監視が限定的で、兆候検知・初動対応が遅れがち。

結論はシンプルに、「据置UPSはそのままに、末端と通信までカバーを広げる」——この設計転換が、配車を止めない最短ルートです。

2|こんな解決方法があります—無瞬停×二重回線×分散UPS

「配車を止めない」ための選択肢として、以下の組み合わせがあります。すでに一部を導入済みでも、足りない“すき間”を埋めると体感は一変します。

  • 電源:可搬型大容量UPS『パーソナルエナジー・ポータブル(以下、PEP)』は、定格出力2kW(AC併用時3kW)、瞬間最大出力4kW(AC併用時6kW)。モジュール拡張〜約50kWhまで。発火危険性のあるリチウムイオンバッテリー不使用(AGMバッテリー)で、工事不要・可搬型、且つ火災リスクゼロ。
  • 通信:光+LTE/5G(必要に応じStarlink)を常時待機・無感フェイル。VRRP/SD-WANで自動切替。
  • 分散UPS:PBX・SIP・FW/ルータ・PoE・配車PC・NVRなど末端も保護(既設UPSは活用・共存)。
  • 運用:止める・守る・再開」の手順書+見守りPCにメールで通知で兆候対応を平時から定着。

3|選べる構成例

ライト:配車室の“核”だけは絶対落とさない

  • 守れる範囲:瞬停・短時間停電/単一回線の瞬断。
  • 想定課題→対策
    • 末端無保護 → PEPで配車PC×4・PBX・ルータ・PoE・NVRを無瞬停化
    • 回線単一 → 光+LTE/5Gの二重化+自動フェイル
    • 兆候未検知 → 見守りPCが電圧/温度/回線を監視しメールで通知
  • 設計目安:重要負荷800–900W・短時間停電〜数時間の延命

スタンダード:72時間の事業継続をデフォルトに

  • 守れる範囲:長時間停電(〜72h)/PBX障害時の受電維持。
  • 想定課題→対策
    • 停電長期化 → PEP拡張モジュールで容量段階拡張/外部給電(太陽光・発電機・車載DC)
    • PBX障害 → 待機系クラウドPBXへ即切替(番号はそのまま)
    • 消費過大 → 計画給電レシピで照明/空調を段階停止
  • 設計目安:重要負荷主体で最大72h運用

アドバンス:通信断にも揺れない“攻めのBCP”

  • 守れる範囲:広域回線断/センター障害/地域災害時の配車継続。
  • 想定課題→対策
    • 広域断・輻輳 → 光+LTE/5G+Starlinkの三重回線
    • 末端拠点ダウン → 営業所・中継局にもPEPミニ(サテライトBCP)
    • DR不足 → クラウド併用を前提にしたネット設計(ハイブリッドDR)

据置UPSの特長とPEPの役割:据置は高出力・長時間・発電機連携に強く“基幹”の要。PEPは無瞬停×可搬×分散×拡張で“末端と通信のすき間”を埋める。両立・併用で弱点ゼロへ。

4|72時間レシピ:負荷と運用の設計例

  • 対象負荷:PBX/SIP/FW/ルータ/PoE(カメラ・AP)/配車PC×4/NVR(合計800–900W想定)
  • 電源計画:PEP本体+拡張で必要容量を段階設計。昼間は照明落とし・ディスプレイ輝度制御で消費最適化。
  • 外部給電:太陽光・小型発電機・車載DCの多様な取り込み(押上モード)。
  • 監視・通知:見守りPCがバッテリー・回線状態を監視し、メールで通知+減災オペの手順書化。

5|導入ステップ(現地PoC→設置まで)

  1. オンライン診断(無料):負荷・配線・回線・PBXの現況把握、障害履歴ヒアリング。
  2. PoC(約2週間):PEP仮設→瞬停注入テスト→通話/IVR/配車端末の連続性を実測・動画化。
  3. 本番設計:ライト/スタンダード/アドバンスから選択、費用対効果(回収年数・年間効果額・5年総コスト)で提示。
  4. 運用訓練:メール通知→一次対応→復旧の手順を年1回の訓練に定着。

6|FAQ(よくある質問)

Q. 既存の据置UPSや他社小型UPSは活かせますか?

A. はい。原則PEPで統一しつつ、現場に既設があれば活用します。置換・共存も設計します。

Q. 回線は二重化が必須?

A. はい。光+LTE/5G(必要に応じ衛星)で常時待機・無感フェイルを推奨します。

Q. 72時間は本当に可能?

A. 重要負荷を絞った計画給電レシピ+外部給電(太陽光/発電機/車載DC)で現実的に設計します。

Q. 医療機器やモーター負荷に強い?

A. PEPはモーター/誘導負荷に強い設計です(コンプレッサ・ポンプ等の高始動電流にも安定)。

信頼の実績:導入後5年、無故障・クレームゼロ*
* 2020年9月〜2025年10月 自社確認。対象:HPP/HBB。

参考資料(外部)

※上記は一般論・公開情報に基づく参考リンクです。特定企業の運用を断定するものではありません。

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