12月の巨大地震と備え|三河地震と「引き算の防災」
2025.12.19 災害への備え・防災 管理人

Re 2025 執筆:株式会社 Re編集部 | 読了目安:約4分
街はクリスマスムード一色。年末年始の準備でワクワクする季節ですね。
でも、東海地方の歴史を少し振り返ってみると、実は12月は「巨大地震が集中している月」であることをご存知でしょうか。
「えっ、せっかくの年末に怖い話?」と思われたかもしれません。ご安心ください。今日は皆さんを怖がらせたいわけではありません。
歴史の事実を少しだけ知ることで、「無駄な不安」を減らし、「本当に必要な備え」だけを残す。そんな「引き算の防災」について、少しお話しできればと思います。
12月に集中する巨大地震の記録
まずは、過去に東海・南海エリアで発生した大地震の記録をご覧ください。
- 安政東海地震
1854年12月23日(M8.4) - 安政南海地震
1854年12月24日(M8.4) - 昭和東南海地震
1944年12月7日(M7.9) - 昭和南海地震
1946年12月21日(M8.0)
驚くことに、これら全てが12月に起きています。特に江戸時代の安政地震は、クリスマスの時期(当時は旧暦ですが)に2日連続で巨大地震が起きた事例です。
そして、もう一つ。愛知県にお住まいの方にはぜひ知っておいてほしい、忘れられた地震があります。
歴史から「消された」三河地震
昭和東南海地震(1944年12月7日)の約1ヶ月後。まだ混乱が続く中で発生したのが、直下型地震である三河地震です。
- 三河地震
1945年1月13日(M6.8)
M6.8という規模は、阪神・淡路大震災(M7.3)に迫る大きさでしたが、この地震のことはあまり知られていません。
理由は、当時の時代背景にあります。太平洋戦争の末期だったため、「国民の戦意を喪失させてはいけない」という理由で厳しい情報統制が敷かれたのです。地元では甚大な被害が出ていたにもかかわらず、新聞での扱いはごくわずか。「被害は軽微」とされ、歴史の闇に葬られてしまいました。
このエピソードから私たちが学べることは一つです。
「本当に大切な情報は、待っていても届かないことがある」
だからこそ、誰かに言われるままに対策するのではなく、自分たちの暮らしに合わせて「自分で考え、備える」ことが大切なんですね。
防災グッズ、買いすぎていませんか?
ここまで読んで、「やっぱり怖い!急いで防災グッズを買わなきゃ!」と思った方。ちょっと深呼吸してストップしてください。
プロの視点から率直にお伝えすると、「防災のためだけに買った高額なグッズ」は、いざという時に役に立たないことが多いです。
なぜなら、押入れの奥にしまい込んでしまい、使い方も忘れてしまうからです。さらに言えば、日常で使わないものは、緊急時のパニック状態で使いこなすことはまず不可能です。
「足し算」ではなく「引き算」の備えを
これからの防災は、あれもこれも買い足す「足し算」ではなく、生活に必要なもの以外は持たない「引き算」で考えてみませんか?
キーワードは「フェーズフリー(日常と非日常の壁をなくす)」です。
- × 防災専用のラジオライト
(電池が液漏れしていませんか?操作方法は覚えていますか?) - ○ 普段使いのポータブル電源とスマホ
(キャンプや庭仕事で日常的に使い、常に充電されている状態)
- × 非常食としての乾パン
(賞味期限切れで捨てていませんか?) - ○ 好きなレトルト食品のローリングストック
(普段から食べている「美味しいもの」こそ、災害時の心の支えになります)
特に冬場の地震で最も怖いのは「停電」による寒さです。ですが、特別な暖房器具を用意する必要はありません。日常で使っている電気毛布を動かせる小さな蓄電池が一つあるだけで、その安心感は段違いです。
「何が要らないか」を知ることから
「防災対策、何から始めたらいいか分からない」という方は、まず「何が要らないか」を知ることから始めてみませんか?
ご家庭によって、必要な備えは全く違います。マンションなら水、戸建てなら電気、ペットがいるなら空調…。
私たちは「あれを買え、これを買え」という押し売りは一切いたしません。むしろ、「それはお客様の家にはオーバースペック(無駄)ですね」と止めることの方が多いかもしれません。
「ウチの防災リュック、これ本当に役に立つの?」といった気軽なご質問でも構いません。歴史を振り返り、気を引き締めつつも、賢く無駄のない備えを一緒に考えていきましょう。
「何が必要で、何が不要か」プロの目線で整理します
「ウチの場合はどう?」と思ったら、まずは気軽な診断から。
※記事内で紹介した地震の発生日や規模(マグニチュード)等の歴史的情報は、気象庁の過去の災害データ等を参考にしています。
参考:気象庁 | 過去の地震津波災害
