蓄電池安全ガイドライン解説|知るべきリスクと安全基準
2026.02.09 コラム・地域情報 管理人

© Re 2026 執筆:株式会社Re 髙橋|読了目安:約3分
国の新指針が警告する「蓄電池」の安全基準とは
この記事で分かること:
① 昨年公表された「蓄電池安全ガイドライン」の背景と目的
② 国が求めている具体的な「安全性」の要約(発火防止・監視体制など)
③ 企業のBCP対策において注意すべき選定の視点
「BCP対策で導入した蓄電池が、逆に火災リスクになる」
こうした事態を防ぐため、国が新たな指針を示しました。昨年末に公表されたガイドラインは、公共・重要インフラ向けのものですが、民間企業が安全な設備を選ぶ上でも非常に重要な「ものさし」となります。
なぜ今、国が「安全基準」を強化したのか
結論: 蓄電池の普及に伴い、火災事故やシステム不全のリスクが顕在化しているためです。
昨年(2025年)12月23日、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)が「公共調達・重要インフラ向け蓄電池システムの安全ガイドライン(暫定版)」を公表しました。
リチウムイオン蓄電池はエネルギー密度が高く便利である反面、設計や製造上の不備、あるいは誤った使用方法によって発火事故につながるケースが世界的に報告されています。これまでは「容量」や「価格」が主な選定基準になりがちでしたが、国として「最低限確保すべき安全性のライン」を明確にする必要があったのです。
ガイドラインが求める「4つの安全要件」
結論: 単なる「電池の性能」だけでなく、「システム全体としての安全性」が求められています。
今回のガイドライン(暫定版)では、蓄電池システムに求められる安全要求事項が詳細に定義されています。専門的な内容が多いですが、導入者側が押さえておくべきポイントを要約すると、以下の4点に集約されます。
NITEガイドライン 安全要求事項の要約
| 1. 類焼・延焼の防止 | 万が一、一つの電池セルやモジュールで発火等の異常が起きても、隣接する電池や周囲へ燃え広がらない構造(類焼防止設計)を有していること。 |
|---|---|
| 2. 監視・制御 (BMS) | 電池の状態(電圧、電流、温度など)を常時監視し、過充電や過放電などの異常を検知した際には、自動的にシステムを安全に停止・遮断する機能を備えていること。 |
| 3. 設置環境への耐性 | 設置場所のリスク(浸水、落雷、地震など)を考慮し、外部要因による損傷やショートを防ぐ措置が講じられていること。 |
| 4. 運用・保守の確実性 | 導入後の点検が容易であり、異常発生時の対応フローや、廃棄時の安全処理まで含めたライフサイクル全体での管理体制が整っていること。 |
つまり、これからの蓄電池選びにおいては、「どれだけ電気が貯められるか」以上に、「異常時に被害を拡大させない設計になっているか」「システムが異常を正しく検知できるか」を確認することが重要になります。
特にBCP(事業継続計画)を目的とする場合、非常時に稼働しないばかりか、火災等の二次災害を引き起こしては意味がありません。このガイドラインは、そうした「見えないリスク」を排除するためのチェックリストとして機能します。
なお、本ガイドラインの確定版は、令和8年5月頃の公表が予定されています。
