職員の負担を増やさずに、電話・ナースコール・電気錠・酸素を72時間守る
2025.10.02 福祉避難所 非常用電源・BCP 社会福祉施設 管理人
職員の負担を増やさずに、電話・ナースコール・電気錠・酸素を72時間守る
避難所開設の初動は、電話・インターネット・ナースコール・電気錠・酸素濃縮器といった「止められない機器」を、どれだけ人の手を増やさずに回し続けられるかで決まります。 ただでさえ過酷な職場環境、非常時に人手は増えません。だからこそ私たちは、電源側で無瞬停(瞬間的な電圧途絶がない)を設計し、“動かし続けるべき最小限”を電源で支えることを基本に据えています。
本稿で紹介するHPPHBB4.0-CVCFは、屋内用途の可搬型大容量UPS『パーソナルエナジー・ポータブル』を 社会福祉施設向けに最適化(セットアップ)し、屋外設置型として運用安全性と持続性を高めたモデルです。 機器仕様に合わせてUPS×CVCF(無停電+定周波・定電圧)で対応し、瞬停・電源劣化・波形相性のリスクを抑制。72時間運用を見据え、現場の運用をシンプルに保ちます。
① 電話・FAX・インターネット(情報断絶の回避)
② ナースコール(呼び出しの確保)
③ 入退室管理(電気錠・安全導線の維持)
④ 酸素濃縮器(命に直結する機器の連続運転)
屋内用との違い:HPPHBB4.0-CVCFは「屋外設置型」——現場のリアルに寄せた実装
屋内可搬の『パーソナルエナジー・ポータブル(PEP)』は、機動性と設置容易性が強みです。一方で福祉避難所の運営では、 「避難導線の確保」「騒音・発熱・防塵」「保安距離・動線分離」「補給や点検の一元化」といった、屋外に電源中枢を置くほうが運用しやすい事情が多々あります。 HPPHBB4.0-CVCFは、こうした現場要件に合わせて屋外設置型で構成。屋外筐体、防水・防塵、熱対策、保安距離、施錠・記録性など、避難所運用の現実に根ざした設計としています。
設置事例(外観・納品時)


対象負荷の束ね方と“人の手”を増やさない工夫
- 無瞬停:停電・瞬停時も操作不要で継続。初動の駆け寄りを最小化。
- UPS×CVCF:定周波・定電圧/正弦波で機器相性を確保。復電時の再立ち上げも滑らか。
- 可搬・キャスター:いざとなったら持ち出して、仮設導線にも素早く追従。
- 点検の簡素化:週次セルフチェックと月次点検に集約。属人化しない書式を提供。
“通信が止まる”と何が起こるか——実被害データが示す初動の難しさ
地震や突風などの広域災害では、電源喪失や伝送路断により、通信の確保そのものが難しくなる事例が多数報告されています。
たとえば令和6年能登半島地震では伝送路断・停電・設備損傷が重なり、携帯電話サービスの復旧には多層的な対策が必要となりました(公的資料で公表)。
また静岡県牧之原市の突風災害では、電柱折損や広範な物的被害が発生し、停電が長期化した地域も報じられました。
こうした状況では、通信・呼出・入退室・ライフサポート機器の最低限を「電源側で支え切る」設計が、二次被害の連鎖を抑える現実解になります。
※被害データ・公的資料のリンクは記事末の「出典・参考資料」を参照ください。
72時間モデルの理由
物資・人員の到達や復旧見込みを踏まえ、初動〜安定化までの72時間を“最低限を止めない”時間軸として設計。対象負荷を絞り込み、見える化した電力量を運用優先度順に配分します。 「すべてを動かす」のではなく、“誰を、何で守るか”を先に決める——この考え方が費用対効果を最大化します。
HPPHBB4.0-CVCFは社会福祉施設向けに最適化したセットアップ製品
HPPHBB4.0-CVCFは、可搬型大容量UPS『パーソナルエナジー・ポータブル(PEP)』をベースに、社会福祉施設の運用要件に合わせて 配電・保護・屋外筐体・点検手順・ログ化・掲示類までパッケージ化したセットアップ製品です。 屋外設置により、避難導線の確保、室内の発熱リスク低減、粉塵からの隔離、保安距離・施錠管理、補給・点検の一元化を実現。 詳細仕様や基本思想は、製品ページ(パーソナルエナジー・ポータブル)をご確認ください。
TAIS(福祉用具情報システム)への登録
HPPHBB4.0-CVCFは、福祉用具情報システム(TAIS)に登録されています。公的データベースに記録されていることで、 補助・助成の検討や内部決裁に必要な客観資料として活用しやすくなります。TAIS登録ページへ
蒲郡市の補助金情報
蒲郡市では補助対象となる制度が公開されています(年度・要件により変動)。制度趣旨や対象、申請の流れをご確認のうえ、 当社では要件整理や見積書の様式合わせ、申請に必要な技術的根拠の準備をお手伝いします。
※最新の受付状況・締切・様式は市の公開情報をご確認ください。
設置・配線・運用のポイント
対象負荷の明確化
①通信(電話・FAX・インターネット)②ナースコール③入退室管理(電気錠)④酸素濃縮器の必須4負荷を束ね、その他は別系統に分離。 これにより、電力量の優先順位付けと点検の単純化を実現します。
UPS×CVCFで安定供給
瞬停・電圧変動・波形歪みは機器誤動作の主因です。機器仕様に合わせてUPS×CVCFで対応することで、正弦波・定周波・定電圧を確保。復電時の再立上げも滑らかにします。
点検・記録の属人化を防ぐ
機器エラーが発生した際は施設側で指定されたPCに自動でメール送信。担当交代時の引継ぎを容易にします。
※遠隔のリモート保守・見守りは将来対応/運用で補完の方針です。
運用シナリオ:初動0分から復旧まで
通常時
- 対象機器は常時インバータ(オンラインUPS)経由で給電。週次セルフチェックで状態把握。
- 掲示・配線ラベリング・点検記録を標準化し、属人化を防ぐ。
停電・瞬停(0〜5分)
- 自動で無瞬停継続。アラームで状況把握のみを促し、初動の駆け寄りを最小化。
- 通信・呼出・入退室・酸素の“最低限”を維持し、二次混乱の連鎖を抑える。
長時間化(1〜72時間)
- 見える化された残量をもとに、優先順位順で電力量を配分。
- 外部補給や充電は安全手順に沿って実施。発電機等の併用時は保安要件を遵守。
復電〜平常化
- 機器を落とさず復電へ移行。ログ・記録で振り返り、次回の形式知へ。
出典・参考資料(通信・突風・被害データ等)
- 令和6年能登半島地震における携帯電話サービス復旧の取組(公的資料・PDF): 内閣府(防災)資料
- 静岡県牧之原市ほかで発生した突風(調査結果・プレス): 気象庁 報道発表
- 竜巻等の突風データベース: 気象庁 データベース(牧之原の事例ページ例)
※本文での各記述は公開資料・公表データに基づきます。更新・追補は原典をご確認ください。
記載の仕様・表現は、実機構成・現場条件により最適化します。写真は設置環境の一例です。