利益を守る電源。BCPを保険から投資に変えるオフグリッド戦略
2025.12.02 製造・物流・IT 経営・BCP戦略 管理人

Re 2025 執筆:株式会社 Re編集部 | 読了目安:約4分
「BCP対策=コスト」という誤解。利益を守り抜く「オフグリッド・プロフィット・インフラ」とは
【目次】
- 1. なぜ、BCP対策の稟議は通らないのか?
- 2. 「守りの電源」から「稼ぐ電源」への転換
- 3. 全部は守らなくていい。「急所」を見極める
- 4. 建物に固定しない。「動くインフラ」という資産防衛策
「万が一の停電のために、何千万円もの設備投資をする余裕はない」
「BCP(事業継続計画)が重要なのはわかっているが、直接利益を生まないものに予算は割けない」
多くの経営者様や工場長様から、こうした本音を伺います。確かに、いつ起こるかわからない災害のための「保険」として考えると、自家発電機や大型蓄電池は非常に高額なコストに見えます。
しかし、視点を少し変えてみてください。
もし、その電源設備が「コスト」ではなく、「利益を確実に守るための投資(ROI)」だとしたらどうでしょうか?
今回は、BCPの概念を根底から覆す「オフグリッド・プロフィット・インフラ(利益を止めない電源)」という考え方についてお話しします。
「守りの電源」から「稼ぐ電源」への転換
従来のBCP対策は、災害時の「避難誘導」や「最低限の照明確保」といった、あくまで安全確保のための「守り」が中心でした。しかし、デジタル化や自動化が進んだ現代のビジネス環境において、電源喪失の意味は大きく変わっています。
数秒の瞬停が引き起こす「実害」を計算していますか?
例えば、落雷などで発生するわずか数秒の「瞬低(瞬時電圧低下)」や「瞬停」。照明がチカっとする程度の一瞬の出来事ですが、精密機器にとっては致命傷となることがあります。
- 製造業の場合: 生産ラインが緊急停止し、仕掛かり中の材料が全て廃棄(ロス)になる。再稼働までの洗浄と調整に半日を要し、その間の生産量がゼロになる。
- 医療機関の場合: 手術支援ロボットや透析機器が停止し、患者様の安全と信頼が損なわれる。電子カルテサーバーがダウンし、診療報酬請求業務が滞る。
- IT・データセンターの場合: サーバーの強制終了によりデータが破損。あるいは、セキュリティシステムの停止中にサイバー攻撃を受けるリスクが高まる。
これらは単なる「リスク」ではありません。発生した瞬間に確定する「金銭的な損失(PL上のマイナス)」です。
逆に言えば、これらの損失を未然に防ぐことができれば、それは「本来失うはずだった利益を確保した」ことと同義です。これが、「オフグリッド・プロフィット・インフラ」の基本的な考え方です。
全部は守らなくていい。「急所」を見極める
「BCP対策が進まない」という企業様の多くは、工場全体や病院全体をバックアップしようとして、見積もり金額の大きさに二の足を踏んでしまっています。
しかし、本当に施設の「隅から隅まで」電気を通す必要があるのでしょうか?
経営視点で冷静に分析すると、守るべきは「止まると利益が損なわれる場所(ボトルネック)」だけで十分なケースがほとんどです。
選択と集中の具体例
- 工場の照明やエアコンは消えてもいいが、「メインの制御盤」と「検査機器」だけは絶対に止めない。
- 待合室の電気は消えてもいいが、「電子カルテのサーバー」と「通信ルーター」だけは動かし続ける。
- オフィスのPCは止まってもいいが、「中枢のセキュリティゲート」と「勤怠管理サーバー」だけは保護する。
このように「急所」をピンポイントで独立電源化(オフグリッド化)できれば、投資額は何分の一にも圧縮できます。
ここでの「オフグリッド化」とは、「有事の際に、系統(電力会社)から完全に切り離された自立環境を即座に作り出せる」という意味です。停電時のバックアップはもちろん、ランサムウェア等のサイバー攻撃検知時に物理的にネットワーク電源を隔離し、クリーンな復旧体制に入るための「要塞」として機能します。
建物に固定しない。「動くインフラ」という資産防衛策
ピンポイント防御を実現する鍵。それは、「インフラそのものを動かす」という発想です。
ここで誤解を恐れずに申し上げます。私たちが提案しているのは、量販店で手に入るようなキャンプ兼用の「ポータブル電源」ではありません。
それは、いわば「キャスター付きの産業用オフグリッド・インフラ」です。
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一般的な定置型蓄電池や発電機は、一度設置すると建物の一部となり、簡単には動かせません。しかし、ビジネス環境は常に変化します。「せっかく数千万円かけて設置したのに、工場のレイアウト変更で使えなくなった」「オフィスの移転で原状回復費用がかかった」では、投資が無駄になってしまいます。
資産価値を固定させないための選択
工事不要で導入でき、必要な場所に、必要な時だけ、最強の電源環境を展開する。この「可搬性」こそが、変化の激しい時代における最大のリスクヘッジになります。
- 資産の流動性: 大掛かりな設置工事が不要なため、建物附帯設備とならず、資産管理がシンプルになります。将来的な移設や配置転換も容易で、コストが無駄になりません。
- フェーズーズフリーな運用: 平時は商用電源と繋がりながら瞬停・停電を常時監視。いざという時は、復電時のサージ電流(過度な電気的衝撃)から電子機器を保護するバリアとしても機能します。
- スモールスタート: リース契約等で1台から導入し、事業規模に合わせて台数を増減させることが可能。
このように、経営判断に合わせて柔軟に運用できることこそが、不確実な時代の「プロフィット・インフラ」に求められる要件です。また、商用電源から完全に切り離された「オフグリッド」状態を作ることで、送電線からのサージ電流(雷サージなど)や、電源ライン経由の侵入を防ぐ物理セキュリティとしても機能します。
御社の「止まると一番痛い場所」はどこですか?
「工場全体を守る」のではなく、「利益の源泉」をピンポイントで守る。
そのための最小構成と投資対効果(ROI)を、専門的な視点で診断いたします。
社内稟議を通すための資料作成や、補助金活用のサポートもお任せください。
Q&A:よくあるご質問
Q. 一般的なポータブル電源と何が違うのですか?
A. キャンプ用などの一般的なポータブル電源とは異なり、工場のモーターや医療機器などの「突入電流」に対応できる産業用スペックを備えています。また、UPS(無停電電源装置)として常時接続したまま10年以上の連続使用に耐えうる設計となっています。
Q. 導入に電気工事は必要ですか?
A. 基本的に工事は不要です。コンセントに差すだけで、その瞬間から重要機器を守る「オフグリッド環境」が構築できます。テナントビルや賃貸工場でも問題なく導入可能です。
最後に:経営を止めないために
「電気」は空気のような存在で、失って初めてその重要さに気づくものです。しかし、失ってからでは遅いのがビジネスの世界です。
Reは、御社の利益を物理的な側面から守り抜くためのパートナーでありたいと考えています。「何かあったとき」のためではなく、「明日も確実に利益を生む」ために、電源の見直しを検討してみませんか。
※より詳細な技術情報や製品スペック(パーソナルエナジー・ポータブル等)については、メーカー(慧通信技術工業)の公式サイトをご確認ください。
https://www.ieee802.co.jp/ppower-bbank/
