災害時、医療・介護施設が「陸の孤島」になる前に。発電機だけでは防げない「通信断絶」への処方箋
2025.12.04 医療・福祉・公共 管理人

Re 2025 執筆:株式会社 Re 編集部 | 読了目安:約5分
災害時、医療・介護施設が「陸の孤島」になる前に。
発電機だけでは防げない「通信断絶」への処方箋
「非常用発電機を導入済みだから、うちは大丈夫」
多くの医療・介護施設の管理者様とBCP(事業継続計画)のお話をすると、そうした頼もしいお言葉をいただきます。
確かに、照明や人工呼吸器といった直接的な生命維持に関わる電源確保は最優先事項であり、すでに多くの施設で対策が進んでいます。
しかし、近年の災害現場(3.11や能登半島など)で浮き彫りになったのは、「電気は点いたが、ネットも電話も繋がらない」という新たな課題でした。
クラウド型電子カルテ、IP電話(ひかり電話)、ナースコール連動システム。
現代の医療・福祉現場を支える「神経」とも言える通信インフラは、実はルーターのコンセントが一つ抜けるだけで、その機能を停止してしまいます。
本日は、発電機だけではカバーしきれない「通信BCP」の盲点と、異なる専門分野をつなぐことで見えてくる解決策について共有します。
1. 「通話」と「カルテ」が同時に消えるメカニズム
かつてのアナログ電話回線とは異なり、現在主流の光電話やインターネット回線は、施設内の通信機器(ONUやルーター、HUB)に100V電源が供給されなければ即座に遮断されます。
一般的なガソリン/ガス発電機には、通信維持の観点から以下の課題が生じることがあります。
- 始動ラグの壁:停電検知から発電機が安定稼働するまでの数秒〜数分の間に、ルーターやサーバーが強制シャットダウンし、再起動やデータ破損のリスクが生じる。
- 電源品質の壁:発電機特有の電圧変動(ノイズ)は、精密な通信機器にとって負荷となり、最悪の場合は故障の原因となり得る。
「院長、カルテが見れません」「救急車を呼びたいのに電話が繋がりません」。
非常時に現場を混乱させないためには、発電機とは別に「通信機器を守るための無瞬断電源」という考え方が不可欠です。
2. 専門分野の「隙間」を埋める視点
通信BCPの対策を進めようとした際、「誰に相談すればいいのか?」と迷われるケースは少なくありません。
これは、各専門家のスキルが高度化しているがゆえに生じる「構造的な隙間」と言えます。
それぞれの「最適」をつなぐ
ITベンダー様はネットワーク構築のスペシャリストであり、データフローの最適化に注力されています。
電気工事会社様は電力供給のスペシャリストであり、安全な配線工事に注力されています。
どちらも非常に重要な役割ですが、「災害時にルーターを止めないための電源選定」や「建物構造を考慮した蓄電池の配置」といった、領域を横断する課題は、どうしても宙に浮いてしまいがちです。
私たち株式会社Reは、この「通信(IT)」と「電源(エネルギー)」、そして機器を設置する「建物(建築)」の3つの領域の交差点に立ち、各専門家様の間を取り持つ「通訳」のような役割を果たしたいと考えています。
3. 担当者様の「実務」を支える3つのメリット
BCP対策は重要だと分かっていても、導入には多くのハードルがあります。
私たちは、ご担当者様が抱える「実務的な負担」を軽減し、スムーズな導入を支援する体制を整えています。
① 「稟議」を通すためのロジックと資料作成
「経営層に必要性をどう説明すればいいか分からない」という悩みをお持ちではありませんか?
私たちは、単なる見積書だけでなく、投資対効果(ROI)やリスク回避のシミュレーションを含めた「稟議決裁用の資料作成」からサポートいたします。
担当者様が社内で孤軍奮闘する必要はありません。説得のためのロジック構築は私たちにお任せください。
② 面倒な「補助金申請」も丸投げOK
BCP対策には、国や自治体から手厚い補助金が出るケースがありますが、その申請手続きは非常に煩雑です。
私たちは制度の選定から申請書類の作成、実績報告までをワンストップで支援します。
「制度があるのは知っているが、手間がかかりそうで手が出せない」という場合も、ぜひご相談ください。
③ 建築知識に基づく「安全な設置」
蓄電システムは重量物です。「どこに置くか」は非常に重要な問題です。
私たちは住宅・建築のバックグラウンドを持っており、床の耐荷重確認はもちろん、災害時の避難動線を塞がない配置計画、転倒防止対策など、建物の安全性を損なわない設置方法をご提案します。
特にテナント入居やレイアウト変更が多い施設様には、工事不要で移動可能なキャスター付きシステム(パーソナルエナジー・ポータブル等)も推奨しています。
4. 通信確保は、患者様とご家族への「誠意」
災害時、患者様のご家族が最も恐れるのは「連絡が取れないこと」です。
「当施設は停電時でも電話が繋がります」「Webサイトで安否情報を発信し続けます」。
この一言が言えるかどうかが、地域の方々にとっての「本当の安心」につながると私たちは信じています。
システムを導入するだけでなく、「非常時でも止まらない運用体制」を、私たちと一緒に構築しませんか?
貴施設の「通信・電源」リスク診断を実施中
現状のネットワーク構成図と電源配置を拝見し、
「どこが止まると業務が停止するか」を第三者視点で診断します。
補助金活用や社内稟議のご相談もお気軽にどうぞ。
※記事内で紹介した独立電源システム等の詳細な技術スペックについては、開発メーカーである慧通信技術工業の公式サイトをご確認ください。
URL: https://www.ieee802.co.jp/ppower-bbank/
