お湯を作る給湯器:メリット・デメリットを徹底解説

2025.07.02 給湯器 ブログ 管理人

私たちの生活に欠かせない給湯器は、日々進化を遂げ、多種多様なモデルが市場に出回っています。この記事では、主な給湯器の種類を網羅し、それぞれの仕組み、メリット、デメリットを徹底的に解説することで、ご自身のライフスタイルやニーズに最適な一台を選ぶための情報を提供します。

 1.従来のガス給湯器

最も一般的で広く普及しているのが、ガスを燃料とする給湯器です。

1.1 仕組み

都市ガスまたはLPガスを燃焼させ、その熱でお湯を温めます。水道水が給湯器内部の熱交換器を通り、そこでガスバーナーの熱によって瞬時にお湯が作られる「瞬間式」が主流です。貯湯タンクを持たないため、必要な時に必要なだけお湯を供給できます。

1.2 メリット

* 導入コストが比較的安い: 本体価格が他の給湯器と比較して手頃で、設置工事も比較的簡単です。

* 設置場所の自由度が高い: コンパクトなモデルが多く、屋外設置やベランダ設置など、比較的設置場所を選びません。

* 瞬間的に大量のお湯を供給: 必要な時に必要なだけお湯を作るため、湯切れの心配がありません。シャワーとキッチンを同時に使用しても、安定した給湯が可能です。

* ランニングコストの目安が分かりやすい: ガス料金は使用量に応じて変動するため、使った分だけ支払うという分かりやすさがあります。

* シンプルな構造: 故障のリスクが比較的低く、修理も容易な傾向にあります。

1.3 デメリット

* ガス代がかかる: ガスを燃焼させるため、当然ながらガス代が発生します。特に冬場など、お湯の使用量が増える時期はガス代が高騰する傾向にあります。

* CO2排出: ガスを燃焼させるため、二酸化炭素を排出します。環境負荷を気にする方にはデメリットとなりえます。

* 停電時は使用不可: 電源を必要とするため、停電時は使用できません。

* ガス切れの可能性 (LPガスの場合): LPガスを使用している場合、ガスボンベの残量に注意が必要で、ガス切れを起こすと使用できなくなります。

* 不完全燃焼のリスク: 定期的な点検を怠ると、不完全燃焼を起こし、一酸化炭素中毒の危険性があります。

 2.エコジョーズ(高効率ガス給湯器)

従来のガス給湯器の進化版として登場したのがエコジョーズです。

2.1 仕組み

従来のガス給湯器では、お湯を沸かす際に発生する排熱をそのまま捨てていましたが、エコジョーズはその排熱を再利用して水を予備加熱します。これにより、少ないガス量で効率良くお湯を沸かすことができ、大幅な省エネを実現しています。潜熱回収型とも呼ばれます。

2.2 メリット

* ガス代の節約: 従来型ガス給湯器に比べて、ガス消費量を約15%削減できるとされており、ランニングコストを抑えることができます。

* CO2排出量の削減: ガス使用量が減るため、二酸化炭素の排出量も削減でき、環境負荷を低減できます。

* 高効率: 熱効率が95%以上と非常に高く、ガス代の節約に大きく貢献します。

* 補助金制度: 国や地方自治体によっては、エコジョーズ導入に対して補助金制度を設けている場合があります。

2.3 デメリット

* 本体価格が高い: 従来型ガス給湯器と比較して、本体価格がやや高めに設定されています。初期投資は高くなりますが、長期的に見ればガス代の節約で元が取れる場合が多いです。

* ドレン排水が必要: 排熱を再利用する際にドレン水(凝縮水)が発生するため、その排水処理が必要です。排水管の設置工事が必要になる場合があり、設置場所が限られることがあります。

* 設置スペースの確保: ドレン排水のための配管スペースが必要となるため、従来型よりも設置スペースがわずかに広くなる場合があります。

* メンテナンスの必要性: ドレン排水経路の定期的な清掃など、従来型よりもややメンテナンスに気を遣う必要があります。

 3.エコキュート(自然冷媒ヒートポンプ給湯器)

空気の熱を利用してお湯を沸かす、次世代の給湯器として注目されているのがエコキュートです。

3.1 仕組み

空気中の熱をヒートポンプユニットで取り込み、その熱を利用して冷媒を圧縮・高温化します。この高温になった冷媒の熱を水に伝え、お湯を沸かして貯湯タンクに蓄えます。電気と空気の熱を組み合わせることで、非常に効率よくお湯を作ることができます。深夜の安い電気料金を利用してお湯を沸かす「夜間蓄熱」が一般的です。

3.2 メリット

* 電気代が非常に安い: 深夜の安い電気料金を利用するため、ランニングコストが格段に安くなります。ガス給湯器と比較して、電気代を大幅に削減できる可能性があります。

* CO2排出量の削減: ガスを燃焼させないため、二酸化炭素の排出量がほとんどありません。環境に非常に優しい給湯器です。

* 災害時の備蓄水: 貯湯タンクにお湯が蓄えられているため、断水時には生活用水として利用できます(飲用は不可)。災害時の備えとして有効です。

* クリーンなエネルギー: 火を使わないため、火災のリスクが低く、安心です。

* 給湯能力が高い: 大容量の貯湯タンクを備えているため、家族の人数が多い場合でも湯切れの心配が少ないです。

3.3 デメリット

* 本体価格が非常に高い: 給湯器の中でも最も高額な部類に入ります。初期投資が大きくなるため、導入にはまとまった費用が必要です。

* 設置スペースが必要: 貯湯タンクユニットとヒートポンプユニットの2つのユニットを設置する必要があるため、広めの設置スペースが求められます。特にマンションなどでは設置が難しい場合があります。

* 沸き上げに時間がかかる: 夜間にまとめてお湯を沸かすため、お湯がなくなる予期せぬ事態(来客などで急にお湯が必要になった場合など)には、沸き上げに時間がかかります。

* 湯切れの可能性: 貯湯タンクのお湯を使い切ってしまうと、次のお湯が沸き上がるまで待つ必要があります。特に冬場や来客が多い時など、いつも以上にお湯を使うと湯切れを起こす可能性があります。

* 電気料金プランの選択が重要: 深夜電力の安い料金プランに加入しないと、エコキュートの経済的なメリットを最大限に享受できません。

* 寒冷地での性能低下: 外気温が低い寒冷地では、ヒートポンプの効率が低下し、沸き上げ能力が落ちる場合があります。寒冷地向けのエコキュートを選ぶ必要があります。

* 初期投資回収までの期間: 本体価格が高いため、電気代の節約で初期投資を回収するまでに時間がかかります。

 4.電気温水器

電気の力だけでお湯を沸かす給湯器です。エコキュートが登場する前は、オール電化住宅などでよく利用されていました。

4.1 仕組み

電気ヒーターを内蔵した貯湯タンクに水をため、電気ヒーターの熱でお湯を沸かして貯めておきます。エコキュートと同様に、深夜の安い電気料金を利用して夜間に沸き上げるのが一般的です。

4.2 メリット

* 本体価格が比較的安い: エコキュートよりは本体価格が安価です。

* 設置場所の自由度が高い: エコキュートのようなヒートポンプユニットがないため、比較的設置スペースが少なくて済みます。屋内設置モデルもあります。

* 排気がない: 火を使わないため、排気がなくクリーンです。

* 災害時の備蓄水: 貯湯タンクにお湯が蓄えられているため、断水時には生活用水として利用できます。

4.3 デメリット

* 電気代が高い: エコキュートのように空気の熱を利用しないため、電気代がエコキュートよりも高くなります。ガス給湯器と同等かそれ以上の電気代がかかる場合があります。

* 湯切れの可能性: 貯湯タンクのお湯を使い切ってしまうと、次のお湯が沸き上がるまで待つ必要があります。

* 沸き上げに時間がかかる: タンク内の水を全て温めるのに時間がかかります。

* CO2排出: 発電方法によっては、間接的にCO2を排出します。

* 設置スペースが必要: 貯湯タンクが必要なため、ある程度の設置スペースが必要です。

 5.ハイブリッド給湯器(ガス・電気併用型)

ガスと電気(ヒートポンプ)の両方を活用して、効率よくお湯を沸かす次世代の給湯器です。

5.1 仕組み

基本的にエコキュートと同様にヒートポンプでお湯を沸かし、貯湯タンクに蓄えます。しかし、貯湯タンクのお湯が足りなくなった場合や、急な大量給湯が必要な場合には、瞬時にガスバーナーが作動してお湯を供給します。ガスと電気の良いとこ取りをしたシステムと言えます。

5.2 メリット

* ランニングコストの削減: 通常時は効率の良いヒートポンプでお湯を沸かすため、電気代を抑えられます。急な大容量給湯が必要な場合でも、ガスで補完するため、ガス代も過度に高騰することはありません。

* 湯切れの心配がほぼない: 貯湯タンクのお湯がなくなっても、ガス給湯器がバックアップとして機能するため、湯切れの心配がほとんどありません。

* 安定した給湯能力: 季節や使用状況に左右されず、常に安定した給湯が可能です。

* CO2排出量の削減: ガスと電気を効率的に組み合わせることで、トータルでのCO2排出量を削減できます。

* 省エネ性能が高い: ガスと電気の最適な組み合わせで、高い省エネ性能を発揮します。

5.3 デメリット

* 本体価格が非常に高い: エコキュートやガス給湯器と比較して、最も本体価格が高額です。初期投資が大きくなります。

* 設置スペースが必要: 貯湯タンクユニット、ヒートポンプユニット、ガス給湯ユニットを設置する必要があるため、広めの設置スペースが求められます。

* 複雑な構造: ガスと電気の両方のシステムを搭載しているため、構造が複雑で、メンテナンスや修理費用が高くなる可能性があります。

* 導入事例が少ない: 比較的新しいタイプの給湯器であるため、導入事例や設置業者もまだ少ない場合があります。

 6.太陽熱温水器

太陽の熱エネルギーを利用してお湯を沸かすシステムです。

6.1 仕組み

屋根などに設置された集熱器で太陽光を吸収し、その熱で水を温めます。温められたお湯は貯湯タンクに蓄えられ、家庭内で利用されます。

6.2 メリット

* ランニングコストがほぼゼロ: 太陽光を利用するため、燃料費がほとんどかかりません。お湯をたくさん使う家庭ほど、経済的なメリットが大きくなります。

* 環境に優しい: 二酸化炭素を排出せず、再生可能エネルギーを利用するため、非常に環境負荷が低い給湯方法です。

* 災害時の備え: 日中であれば停電時でもお湯が使える可能性があります(ただし、補助熱源が電気やガスの場合、それらが使えないと限定的)。

6.3 デメリット

* 天候に左右される: 曇りや雨の日、夜間は十分な集熱ができず、お湯が作れません。補助熱源が必要になります。

* 初期費用が高い: 本体価格と設置工事費が高額です。

* 設置スペースが必要: 屋根に集熱器を設置する必要があり、屋根の形状や強度、日当たりなどの条件が影響します。

* 冬場の性能低下: 外気温が低い冬場は、集熱効率が低下し、お湯の温度が上がりにくいことがあります。

* メンテナンスの必要性: 定期的な清掃や点検が必要です。

* 給湯能力の限界: 家庭の湯量を全て賄うことは難しく、ガス給湯器などとの併用が一般的です。

 7.その他の給湯器

7.1 灯油給湯器(石油給湯器)

灯油を燃焼させてお湯を沸かすタイプです。寒冷地やオール電化ではない地域で、プロパンガスよりも安価な燃料を求める場合に選択肢となります。

メリット

* ランニングコストが比較的安い: 灯油はガスや電気と比較して、単価が安い場合があります。

* 寒冷地での能力が高い: 外気温に左右されにくく、寒冷地でも安定した給湯能力を発揮します。

デメリット

* 灯油の補給が必要: 定期的に灯油を補給する手間がかかります。

* 灯油タンクの設置スペース: 灯油タンクを設置するスペースが必要です。

* CO2排出: 灯油を燃焼させるため、二酸化炭素を排出します。

* 排気の臭い: 燃焼時に特有の排気の臭いがすることがあります。

* 火災のリスク: 灯油を扱うため、火災のリスクがガスよりも高くなります。

7.2 貯湯式給湯器(電気温水器以外)

瞬間式と異なり、一度お湯を沸かしてタンクに貯めておくタイプです。業務用や、特定の用途で利用されます。

メリット

* 一度に大量のお湯を供給可能: タンク容量が大きいため、大人数での同時使用にも対応できます。

デメリット

* 設置スペースが必要: 大きな貯湯タンクが必要です。

* 湯切れの可能性: タンクのお湯を使い切ると、次の沸き上がりまで待つ必要があります。

* 常に保温に電気代がかかる: タンクのお湯を常に一定温度に保つため、保温のための電気代がかかります。

 【給湯器選びのポイント】

これまでに紹介した給湯器の種類とメリット・デメリットを踏まえ、ご自身のライフスタイルや住環境に合った一台を選ぶためのポイントをまとめます。

* 家族構成と使用湯量: 家族の人数や、一日にどれくらいお湯を使うかによって、必要な給湯能力や貯湯タンクの容量が変わってきます。

* 設置スペースの有無: 給湯器の種類によって、設置に必要なスペースが大きく異なります。特にエコキュートやハイブリッド給湯器は広いスペースが必要です。

* 初期費用とランニングコスト: 本体価格だけでなく、設置工事費や長期的なランニングコスト(電気代、ガス代、灯油代など)を考慮して、総合的な費用を比較検討しましょう。

* 省エネ性能と環境負荷: 省エネ性能が高い給湯器は、ランニングコストを抑えられるだけでなく、環境負荷の低減にも貢献します。

* 災害時の備え: 貯湯タンクがある給湯器は、災害時の備蓄水として利用できるメリットがあります。

* 居住地域の特性: 寒冷地では、寒冷地仕様の給湯器を選ぶ必要があります。また、都市ガスとLPガスのどちらが利用できるかによっても選択肢が変わります。

* 補助金制度の確認: 国や地方自治体で、省エネ給湯器の導入に対する補助金制度がある場合があります。事前に確認しておきましょう。

* 将来的なライフスタイルの変化: 将来的に家族が増える予定があるか、オール電化を検討しているかなど、将来的なライフスタイルの変化も考慮に入れると良いでしょう。

* 業者選び: 信頼できる業者に相談し、複数の見積もりを比較検討することも重要です。

 【まとめ】

給湯器は、一度設置すると10年以上使い続けることが多いため、後悔のない選択をすることが非常に重要です。それぞれの給湯器が持つ特徴を理解し、ご自身のニーズに最も合致する給湯器を選ぶことで、快適で経済的な暮らしを実現できるでしょう。

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