三河地震の教訓――内湾でも「津波は絶対に来る」

2025.09.10 地域情報(愛知・三河) 防災・BCP 停電対策 管理人

三河地震の教訓。内湾の三河湾沿岸でも津波は来ることを伝える歴史写真サムネイル

三河地震の教訓――内湾でも「津波は絶対に来る」

歴史に学び、個人と法人(医療機関・社会福祉施設・製造業・証券取引・運輸/食品・IT/DX)が今すぐ整えるべき備え

能登半島地震以降、地震への関心が高まっています。三河湾は「内海だから津波は来ない」という油断が残りがちですが、事実として三河地震と津波の歴史があります。「津波は絶対に来る。結果的に来なかったら幸い」――これを前提に、私たちの備えを具体化しましょう。

歴史から出発する理由:1945年「三河地震」とは

1945年(昭和20年)1月13日未明、三河湾内を震源とする直下型地震が発生し、三河地方は甚大な被害に見舞われました。地表には深溝断層・横須賀断層の地震断層が現れ、家屋倒壊と地盤変動が広範に生じました。戦時下で情報統制が厳しかったため実態把握が遅れましたが、戦後の資料からは死者2,000名超という深刻な被害が確認されています。さらに津波は三河湾沿岸を襲い、湾奥の集落で家屋浸水も記録されています。

「東南海地震→三河地震」の連動性に学ぶ

前年1944年12月7日の東南海地震(M7.9)のわずか37日後に三河地震が発生しました。プレート境界の巨大地震の前後に、内陸や沿岸近傍で誘発地震が起きうる――これは南海トラフ地震に備える現代の私たちにとって極めて重要な示唆です。巨大地震の直後でなくても、長期間の余震活動や別系統の活断層活動が重なり、想定外のタイミングで揺れや津波が来る可能性を否定できません。

「内海だから安全」ではない:三河湾の津波特性

三河湾は外洋に比べれば波長の長い津波エネルギーが減衰しやすい一方、地震断層の近さ湾形の収束地盤の隆起・沈降によって、湾奥での水位上昇岸壁越流低地の内水氾濫的浸水が起こり得ます。実際、記録には蒲郡で約1mの津波来襲形原・西浦などで浸水が残っています。津波は「一度で終わらない」「引き波で被害が出る」「湾奥にたまる」――この三点を必ず意識しましょう。

内陸型巨大地震の教訓:濃尾地震のスケール

内陸直下型でも破壊規模は小さくありません。岐阜県・根尾谷の濃尾地震(1891)はM8.0と日本史上最大級の内陸地震で、地表断層80km、最大6m級の段差が確認されています。内陸活断層の破壊が都市・産業インフラを直撃すると、停電・通信途絶・道路寸断が同時多発的に起こります。「揺れ対策+長期停電対策」を組み合わせて初めて、命と暮らし、事業が継続します。

いまの私たちに引き継がれた核心メッセージ

  • 津波は絶対に来る――内湾でも。結果的に外れても「外れてよかった」で終わらせる。
  • 連動に備える――巨大地震の「前後」に誘発地震や別系統の断層活動がありうる。
  • 停電は長期化前提――電気・通信・水・トイレ・情報の自律性を確保する。
  • 水平避難が難しければ即「縦避難」――近くの高所・堅牢階上・津波避難ビルへ。

個人の備え(三河湾沿岸・低地・内陸丘陵、共通)

1)命を守る「最初の数分」:揺れと同時に動く

  • 強い揺れ・長い揺れ=津波警戒。沿岸・河口・運河沿いは、迷わず高い場所/上階へ
  • 就寝中対策:寝室の落下・転倒防止、通路確保、枕元に靴・懐中電灯・笛
  • 家族合図:集合場所・連絡方法(災害用伝言・SNS・メモ)を決め、毎年更新。

2)停電長期化を生き抜く「72時間+1週間」

  • 飲料水:最低1人1日3L×7日分+簡易浄水器。非常食:主食+たんぱく+嗜好品
  • 電源:スマホ・照明・医療機器向けに屋内安全な電源を(二次電池やUPS)。
  • 情報:AM/FM/ワイドFM/防災アプリの多重化、車載ラジオも活用。
  • トイレ:凝固剤・簡易トイレを家族日数分。生活排水はポリ袋二重で衛生管理。
  • 車:ガソリンは常に半分以上を目安に補給(発電・移動・情報・避難に資する)。
内湾特有の注意:「様子見」は最悪です。引き波の後の第2波・第3波で被害が拡大します。海・河口・港・防波堤・水門の見物は厳禁。

法人の備え:業種別の最短ルート

医療機関(有床/無床、在宅含む)

  • 電子カルテ/検査機器/陰圧・酸素:瞬時無停電(0ms)と数時間~数日の連続稼働を両立。
  • 冷蔵医薬・ワクチン・検体:温度逸脱防止にバックアップ電源+温度ロガー
  • 通信:固定・モバイル・衛星の多重化(トリアージ/連絡/決済/レセプトに直結)。
  • 在宅医療:患者側にも小規模無停電電源と手順書。緊急発電の優先配分を決める。

社会福祉施設(特養/障害/認定こども園等)

  • 優先負荷:照明・情報・給水・トイレ・調理・福祉用具。施設規模に応じ独立運転を段階設計。
  • 福祉避難所:垂直避難導線の確保、夜間最小要員でも運用可能な平時訓練
  • 地域連携:近隣医療機関/自治体/業者との相互支援覚書+連絡網の定期更新。

製造業(組立/プロセス/食品含む)

  • 生産設備:安全停止→保護→段階復旧の自動化。金型・仕掛在庫の保全手順。
  • ユーティリティ:空調・圧縮空気・蒸気の最低限確保、用水と排水の停止時ルール
  • サプライ:代替ライン・代替物流のRACI明確化、緊急発注の権限移譲。
  • 食品:HACCPの非常時運用手順、コールドチェーンの維持電源。

証券取引・24時間受発注(運輸・食品EC等)

  • 無停止要件:基幹サーバ/回線/端末へ0ms切替のUPS長時間の独立電源
  • 通信:フェイルオーバー回線(有線/無線/衛星)と自動切替、遅延監視。
  • オフィス出社不能時:BCP席(別拠点/郊外)+リモート手順とセキュリティ。

IT/DX(自社DC/クラウド活用)

  • 電源:ラック別UPS+上位独立電源、冷却最小構成の持久設計。
  • データ:RPO/RTOに沿ったスナップショット、別リージョン/クラウドDR
  • 運用:停止/縮退/復旧のSOPと演習、第三者復旧支援のコントラクト化。

三河で「今すぐ」できる現実解:電源・通信・情報の三本柱

電源の自立

再生可能×蓄電の併用

通信の多重化

  • 固定+モバイル(デュアルSIM)+衛星を用途別に冗長化
  • 自動切替のフェイルオーバー設定と定期演習。
  • 災害情報ソース(自治体/JMA/河川/道路)を即時監視

三河湾沿岸で勘違いしやすいポイント

  • 「堤防があるから大丈夫」:越流内水氾濫が起こり得ます。
  • 「一度引いたからもう終わり」:第二波以降が本番の場合があります。
  • 「車で逃げる」:渋滞・冠水・瓦礫で動けなくなる。徒歩+縦避難を優先。
  • 「停電しても数時間で復旧」:数日~数週間を前提に「暮らし」と「事業」を設計。

BCPクイックチェック(個人・法人共通)

個人

  • 家族の集合場所・連絡手段・役割分担を決めている。
  • 水・食料・トイレ・照明・モバイル電源が7日分ある。
  • 近隣の津波避難ビル/高台を即答できる。
  • 寝室の落下物対策・通路確保・火気安全が済んでいる。

法人

  • 基幹負荷に0ms UPS+長時間の独立電源を設置済み。
  • 通信の多重回線と自動切替を設定し、演習している。
  • 優先業務・要員・代替拠点・委託先をRACIに明記。
  • 復旧手順(SOP)・代替プロセス(縮退運用)を文書化。

次のアクション:設計相談(無料)

三河の地形・設備・運用に合わせて、電源(UPS/独立/蓄電)×通信冗長×避難/運用を一体設計します。既存設備の活用や段階導入(ミニマム→拡張)も可能です。まずは現況ヒアリングから。

まとめ:三河地震の歴史が示す通り、内湾でも津波は来ます。そして巨大地震の前後には誘発地震が起こり得ます。だからこそ、揺れ対策と停電長期化の両方を同時に準備し、電源・通信・避難の「三本柱」を今日から具体化しましょう。

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