VISUMAX 800(SMILE pro)を無瞬停で1時間連続稼働させる方法

2025.10.07 医療向け 瞬停対策・BCP 管理人

VISUMAX 800(SMILE pro)の手術室写真。無瞬停で1時間連続稼働させる方法を解説する特集サムネ|株式会社Re

VISUMAX 800(SMILE pro)を無瞬停で1時間連続稼働させる方法

屈折矯正の現場では、患者中心のケアと手技品質の両立が最重要です。ZEISS VISUMAX 800(SMILE pro対応)は、短時間・高精度のレーザー照射とワークフロー最適化で知られています。いっぽうで、わずか数十ミリ秒の瞬断(瞬停)や電圧ディップ(瞬時電圧低下)は、装置の再初期化・再アラインメント・吸引/視野の乱れなどを招き、医療安全と業務効率に影響します。本稿では、装置の電気的定格に基づく必要エネルギーの算定と、オンラインUPS×CVCFによる無瞬停・高品位給電の具体像を示し、「中断リスクを低減」する現実的な構成を提案します。

ご相談(要件整理から)

導入可否の早見・負荷計測・設置要件の確認を短時間で行います。

用語メモ:UPS=無停電電源装置、CVCF=Constant Voltage Constant Frequency(定電圧・定周波)。オンライン(二重変換)UPSは常時インバータ給電の方式で、入力変動を遮断して安定出力をつくります。

装置仕様に基づく根拠(電気的定格と公共仕様)

電気的定格(消費電力の根拠)

VISUMAXシリーズの添付文書(PMDA)には、AC100–240V 50/60Hz、消費電力 1,350Wの記載があります(型式600/800で共通項目として確認できます)。よって、1時間の連続運転に最低限必要なエネルギーは、1.35kWh ÷ システム効率で算出できます。添付文書PDFは以下より参照できます:PMDA(医療機器添付文書)

切替時間の基準(瞬断の考え方)

公共施設の設計思想の参考として、公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版では、UPSに関して「切替時間 0.1ms 以内」「1/4サイクル以内」の基準が示されています。医療用精密機器への給電は、この思想に整合する「無瞬断」出力品位(CVCF)の確保が望ましいと考えられます。資料はこちら:国土交通省 PDF

注:各医療機器は固有の許容範囲・運用手順をもちます。実施設では、装置の取扱説明書・据付仕様書・院内設備の要件を必ず併読してください。

なぜオンラインUPS×CVCFなのか

「質」を固定化する(電圧・周波数・歪み)

医療用レーザの駆動は、電圧変動・周波数偏差・高調波・サグ/スウェルなどの影響を受けます。オンラインUPS×CVCFは、入力の汚れ直流→交流へ変換する過程で遮断し、常時クリーンな出力を提供します。これにより、装置の誤動作・再起動や制御系の不整合リスクを抑えられます。

「無瞬停」で中断リスクを低減

瞬断が起きても切替ゼロ(実質)で連続給電できることは、患者安全・手技継続・業務効率化確保の観点で大きな価値があります。公共仕様の0.1msレベルを目標に設計すれば、現場にとっての“体感ゼロ”を狙えます。

装置内の短時間保持と外部UPSの役割分担

医療用装置には短時間保持・安全停止のための機能が搭載されることがあります。とはいえ、手術継続や電源品質の恒常性は外部のオンラインUPS×CVCFで担保するのが合理的です。「中断を避けたい工程」に外部UPSの責務を明確化し、装置内の保持機能は最終防御として位置づけると整合が取れます。

必要エネルギーの計算例と「1時間強」の根拠

前提と式

負荷=1,350W(PMDA添付文書)/目標時間=1時間/システム効率=0.85〜0.90(オンラインUPS+CVCFの実務目安)。

必要エネルギー [kWh] ≒ 1.35 ÷ 0.85〜0.90 = 約1.5〜1.6kWh

セーフティマージン

環境温度・充放電Cレート・インバータ負荷率・周辺機器(顕微鏡、吸引、モニタ等)の同時稼働により、実消費は上下します。実務では20〜30%程度の余裕を持たせ、約2.0kWh級を確保すれば“1時間強”が現実的になります。

症例回転の目安

SMILE proのレンズキュール生成は短時間ですが、準備〜確認を含む症例あたり所要は施設運用で変動します。仮に10分/症例の前提なら、バッファ込みで約6症例を連続運用できる計算です(実際はスタッフ導線・インフォームドコンセント・清拭/消毒サイクル等で調整)。

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装置単位の導入で、原則工事不要・短納期・運用開始が可能です。

推奨アーキテクチャ(配線と段階冗長)

装置単体の島守り(最短ルート)

商用電源 → オンラインUPS×CVCF → VISUMAX本体/顕微鏡/周辺機器。UPSは常時インバータ給電で出力側を統一。装置群の突入電流が大きい場合は出力側ブレーカ・シーケンスを最適化します。

段階冗長(停電長時間化への対応)

停電が長引く場合、可搬発電機/据置UPS二次電源としてUPSの入力側に投入します。これにより、放電しながら充電(給電しながら充電)の連続運転が可能になり、長時間の外乱に耐えられます。

既設設備との共存

院内に既設の非常用発電・受配電設備がある場合は、対象機器のみを切り出す“部分無瞬停”が効率的です。手術室やレーザ室の「止めたくない範囲」を明確にし、そこに的を絞って投資することで、費用対効果を最大化できます。

推奨するのは、まず対象負荷の棚卸し(消費電力・突入・コンセント数/口)→ 次に無瞬停化の範囲決定 → 最後に据付図面と試験項目を合意、の三段構えです。

運用・保守の勘所

立ち上げと切替の手順化

日常は商用→UPS→装置の順で通電し、停電時は自動無瞬停で継続。長時間停電時は二次電源を投入し、復電後は装置→UPS→商用の順で整流に戻します。手順は1枚の標準作業手順書(SOP)にまとめ、当直/非常勤でも迷わない形に。

電源品質ログ

瞬低・サージ・高調波は累積ダメージになります。UPSのログや別置の電力品質計でイベント管理しておくと、トラブルシュートと予防保全に効きます。

費用対効果

再初期化・やり直し・患者再来院の負担は目に見えない損失です。中断リスクの逓減は、結果的に患者満足度業務効率、そして評判に跳ね返ります。設備投資としての費用対効果は、1件の再スケジュール回避 × 症例単価 × 年間予測件数などの指標で評価すると定量化しやすくなります。

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既存設備との併用も可能。お気軽にご相談ください。

導入ステップ(最短2ステップ)

1)要件定義(負荷実測・範囲決め)

VISUMAX本体・顕微鏡・吸引・周辺モニタ類の定格/実測を確認。瞬時ピークの把握、配線長、コンセント口数、機器配置、換気要件などを洗い出します。「どこまで無瞬停化するか」を費用対効果で決めます。

2)試験・納入・教育

導入前に通電試験・切替試験・突入試験を実施。SOPを配布し、夜間帯/土日祝も含めた運用シミュレーションを一度実施しておくと安心です。

問い合わせて導入可否を知る

最短導入のための現場チェックを一緒に行いましょう。

製品情報はこちら:可搬型大容量UPS×CVCF『パーソナルエナジー・ポータブル』

よくある質問(抜粋)

Q. 内蔵の短時間保持機能だけでは不十分ですか?

A. 装置側の保持機能は安全停止の最後の砦(約5分間)として有効ですが、手術継続電源品質の恒常性までは担保しません。外部のオンラインUPS×CVCFで「継続」「品質」の両方を満たす構成が推奨です。

Q. 1時間強の連続運転は本当に可能?

A. PMDA記載の1,350Wを基準に1.5〜1.6kWhを確保すれば1時間の目安になります。余裕をみて約2.0kWh級の設計とし、周辺機器や環境差を吸収します。詳細は現地実測で詰めます。出典:PMDA(医療機器添付文書)

Q. 発電機との併用は可能?

A. 可能です。停電長時間化に備えて、UPS入力側に二次電源(発電機/据置UPS)を投入する段階冗長が現実的です。

Q. 法規や院内ルールとの整合は?

A. 公共建築工事標準仕様書のUPS要件に代表される切替時間・出力品質の考え方を満たす設計思想でまとめ、院内の電気・安全管理の手順に合わせて据付・試験を行います。

Q. 費用対効果はどう評価すべき?

A. 中断回避 × 症例単価 × 年間件数での期待便益と、装置の稼働率・評判への寄与を足し合わせ、投資回収見込みを試算します。現場に合わせたスモールスタート(島守り)で最短導入→段階拡張が王道です。

参考資料

メーカー公開情報・院内仕様書・据付図面・保守マニュアルは、各施設の契約形態により閲覧権限が異なります。必要な箇所は導入時に確認します。

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