福祉避難所・特養/老健|止められない重要設備を災害や停電時に72時間守る方法
2025.10.14 福祉避難所 防災・BCP 社会福祉施設 管理人
福祉避難所・特養/老健|止められない重要設備を災害や停電時に72時間守る方法
通信・ナースコール・入退室・医療的ケアを72時間無停止で継続。
可搬型大容量UPS『パーソナルエナジー・ポータブル』を中核に、必要なところに必要な時間を積み上げる設計です。
「重要設備」とは——止めると直ちに影響が出る回路
① 電話・FAX・インターネット
避難誘導・家族連絡・行政/医療との連絡は、通信が生きていることが大前提。令和6年能登半島地震では広域で通信が困難な状況が生じ、移動/船上基地局や電源車で復旧が進みました(参考:NTTグループ災害対策/NTTコミュニケーションズ 第70報)。また静岡・牧之原では竜巻により電柱倒壊→伝送路断が発生しました(例:NTT西日本 静岡支店PDF)。したがってONU/ルーター/AP/PBX/FAXまで含めた72時間の電源確保が要点です。
② ナースコール
慢性的な人手不足の現場で、ナースコールが止まれば走り回るアナログ対応に逆戻り。取りこぼしや遅延は入所者の安全とスタッフ負担に直結します。中継装置・サーバ・子機充電を一体でバックアップする回路設計が必要です。
③ 入退室管理(電気錠/安全管理)
認知症高齢者の徘徊対策や防犯上、入退室のログと扉制御は止めづらい基盤。停電で電気錠が意図せず解放/施錠不能となれば、導線・安全確保が崩れます。制御盤・センサー・ハブの回路を系統分離し、72時間のバックアップ対象に。
④ 酸素濃縮器・喀痰吸引器
人命に直結する医療的ケア機器。平時の消費電力だけでなく起動突入・負荷変動に耐える電源品質(定電圧・定周波数/常時インバーター)と、優先順位付けで止めにくくする運用が鍵です。
推奨システム:HPPHBB4.0-CVCFで「72時間」を設計する
セットアップ価格:495万円(税別)。可搬型大容量UPS『パーソナルエナジー・ポータブル』(リチウムを使わない安全設計)を中核に、上記①〜④を供給ゼロ(商用停電・発電機待機)下でも連続運用する構成をご提案します。外部電源を取り込むことも可能なため、太陽光パネルからの直流送電、発電機からの交流送電を取り込むことで、72時間をさらに延長させることも可能です。
- 算定の目安:合計(平均)W × 72h × 係数1.7(突入・温度・余裕)=必要容量(Wh)
- 運用の原則:重要回路の切り分け → 順次投入 → 夜間重視の時間配分 → 保守(ホットスワップ)計画
- 電源品質:定電圧・定周波数 × 常時インバーターで電圧・周波数を安定化。誤作動・再起動リスクの低減に寄与。
- 機動力:約30kg級の可搬ユニット基軸。フロア移設・仮設ゾーニングにも追従。
※本提案は中断リスク低減を目的とした設計です。対象機器・環境・運用条件により必要容量は変動します。
据置型UPSとの違い(なぜ難しいのか)
多くの据置型UPSは「瞬断対策〜数十分/数時間」の電源供給のために作られています。72時間連続の要件は、重要設備を特定(負荷を増やさない)し供給することで実現が可能です。必要に応じて非常用発電機・太陽光パネル/蓄電池と役割分担し、橋渡し+平準化を図ることも可能です。
参考情報と登録
- 令和6年能登半島地震:固定・モバイルの広域被害と復旧(NTTグループ 活動報告/NTTコミュニケーションズ 第70報)
- 静岡・牧之原の竜巻:電柱倒壊等による通信不能(NTT西日本 静岡支店 第1報PDF)
- TAIS(福祉用具情報システム)登録:掲載ページ
製品の機能・仕様:可搬型大容量UPS『パーソナルエナジー・ポータブル』
横展開——まず自施設、次に地域へ
72時間の自施設守りを確立した先に、余力の範囲で地域のクリニック・福祉避難所・在宅要配慮者の支援へ広げられます。可搬型の強みは、動かせること=助けに行けること。まず目の前の入所者とスタッフを守り、その先の地域貢献へ。
想い|子供たちのために
「子供たちのために-次の世代へ、胸を張って渡せるエネルギーを。」
災害のたびに痛感するのは、弱いところに電気を届け続ける責任です。通信・ケア・安全。止めにくい仕組みを、現場で回せる手順とともに。この地で暮らす人々の安心を、次の世代へつなぐために。
※本文は中断リスク低減の考え方であり、対象機器・運用・環境に応じた個別設計と点検・訓練が必要です。