建築士夫妻が選んだ「エコワンソーラーのある暮らし」

2023.03.22 オーナーズボイス エコワンソーラー 管理人

愛知県 N様邸 取材日:2022.07.08

永田:実は我が家もリフォームを機にエコワンソーラーの導入を先日決めたばかりなんです。まだ引渡し前なので、実際使用してみてどうなのか先輩オーナーであるN様からお話を伺うのを楽しみにしてきました。ところで、ご夫婦お二人とも建築士なのですよね?

様(旦那様):はい。かれこれ30年やっています。僕はデザインの仕事ではなくて骨組み、建物のコアになる部分の設計をやっています。ゼネコンや設計事務所を介して、店舗とか、倉庫や工場、共同住宅などの構造設計をしています。設備についてもよく仕事で関わることは多いです。関わるといっても重さはどのくらいかといった程度のことですが。

永田:建築士として、家づくりに関するこだわりや方針はお持ちですか?

様(旦那様):こだわりは「より安全に・強く・安く」といつも思っています。でも、構造設計って一般の方はほぼ知らない。直接エンドユーザーと会うことがありませんから誰にも評価されませんけどね。

永田:まさに縁の下の力持ちですね。家づくりに設計段階から携わる方々の視点から観た「エコワンソーラーのある暮らし」とはどんなものなのか益々興味が湧きます。ところで、こちらのお家は建て替えられたのですか?

様(奥様):いえ、以前はマンションに住んでいまして、土地を探して新築しました。

他に選択肢無し。エコワンソーラーが丁度ハマった!

永田:新築にあたってエコワンソーラーを導入されたんですね。以前からエコワンソーラーの事はご存知でしたか?

様(奥様):私は以前、住宅メーカーに勤務していたのですが、そこで髙橋さんもご存知の同僚のOさんがエコワンソーラーを検討していて知りました。新築予定先は都市ガスが通っていなくてプロパン。その同僚Oさんの自宅もプロパンで「エコワンソーラーを検討しているんだよ」ということで、そこから詳しく話を聞いたのがきっかけですね。
太陽光発電については最初から検討していました。災害のこととか色々見据えてね。ガスだったらエコジョーズがありますが、それだとどうかなっていう感じでした。エコキュートは最初から入れる気はなかった。じゃあ、その代わりに何があるかと考えると、他に選択肢はないなという感じでした。

様(旦那様): 僕は料理をするんですけど、IHクッキングヒーターは嫌だったんですよね。火が立たないから。美味しくなるとかそういう理由じゃなくて“ガッ”とやりたい。そうするとガスのほうがいい。で、さらに太陽光発電をつけたいなと。なんかいろいろミックスしていくと丁度エコワンソーラーがはまっちゃった。

永田:私は正直言ってエコジョーズとかエコキュートとかエコワンソーラーの違いが最初さっぱりわからなかったんです…

様(奥様):エコワンソーラーは私も馴染みがなかったんですが、それ以外については仕事で住宅に関わっていましたから内容はよくわかっていました。

永田:それぞれの特徴を知った上で検討されたんですね。検討される上で費用面でのハードルっていかがでしたか?本音のところ。

様(旦那様):少し値切りたかったけど(笑)。まあ、こんなもんかいなと思いました。

永田:費用対効果の面で「これだけ光熱費が安くなる」というような点は、気になりませんでしたか?

様(旦那様):ここは全館空調にしたんですよ。電気代が結構かかるっていうことで、その分、太陽光発電で上手くいけばいいなと思ってはいました。やはりガスに比べると電気代は高いですしね。特に冬は、電気を熱に変える部分でものすごく電気代が高くなります。

永田:実際これで導入して住まわれてから、どのぐらい経ちましたか?導入後のご感想は?

様(奥様):2021年の12月24日に使いはじめましたので、半年ちょっとですね。ガス代に関しては、前の住まいでは都市ガスで月8,000円ぐらいだったんですよ。今はプロパンだから一概に比べられませんが、プロパンは高いって言うじゃないですか。でも今は圧倒的に安いです。

様(旦那様):今、プロパンで月に4,000円いかないですよ。だいぶ減っているなあという感じです。ガスでお湯を沸かさないというのは大きいかな。太陽光発電で沸かしているから。調理に使用するガスは知れていますからね。

< 写真:玄関アプローチの右手にエコワンソーラーのユニットを設置 >

■ トラブルは無いけれど、ココが気になる!

永田:今のところ特にトラブルや気になる所はないですか?

様(旦那様):エコワンソーラーのユニットをどこに置くか迷いましたね。気にして見るとデカいもの置いているんだなっていう。タンク容量が160ℓもあるので小さくはできないし。隠せるものなら隠したかったんですけれど、いい場所がなくて。

< 写真:最終的なエコワンソーラーのユニット設置場所 >

永田:デメリットを感じたのは、主に「見た目」ということですね。

様(旦那様):はい。半年ぐらいなので不具合というのはまだ無いですね。

永田:以前は都市ガス、今はプロパンでエコワンソーラーのある暮らし。この半年間の暮らしの変化は実感としていかがですか?

様(奥様):お風呂に入る前や入っている時に「今、ソーラーで沸かしてたお湯がまだあるな」「ガスで沸かし始めた」とかモニターを見て意識するようになりましたね。お風呂に入ったのが5人目ぐらいだとガスになったりして。夏だとシャワーだけの人が多いのであまり使い切らない感じですけど。そういう意識の変化はあります。

永田:エネルギー源の見える化ですね!我が家でも早くそのモニターで見てみたい。稼働が楽しみになってきました。

様(旦那様):以前は電気代なんて一向に気にしてなかったんですよ。今は「売電で幾ら売れました、これぐらいかかってますよ」ということがモニタリングできますから。電気代をすごく見るようになりましたね。

髙橋:今日ぐらいの天気(晴天)だったら、今こちらで使われてるエアコン全部、太陽光でまかなえていると思いますよ。

(※N様邸では、太陽光パネルを18枚設置されています)

< 写真:屋根上の太陽光パネルと家庭菜園 >

永田:建築士として、ハウスメーカーやエンドユーザーに、エコワンソーラーのような設備の導入について提案やアドバイスをすることはありますか?

様(旦那様):僕は住宅はやらないので、そういう機会は無いですね。

様(奥様):私は少しあります。でも、新築時って資金的に余裕がないですよね。注文住宅ではなくハウスメーカーとかの規格住宅が多く「1,500万、2,000万で家を作ろう」というように先に予算が決まっているお客様が大半ですから難しい。
私は直接お施主さんと打合せする機会はないので、ハウスメーカーの営業さんに情報提供しています。営業さんが提案され、近々1棟エコワンソーラーで竣工する予定ですよ。

万一の災害時に、安心材料が一つ手元にある気楽さ

永田:旦那様は構造設計、奥様は住宅メーカーの意匠設計、それぞれ独立して建築士として活躍されています。その中で「自らエネルギーを作って使う」というスタイルについて、どうお考えですか?

様(旦那様):このご時世、電気もガスも高くなってゆく、何割も上がっていくだろうという時に、こういうシステムを導入して良かったなって思うところもあるんですよ。だからといって、これを導入して金額の元が取れるわけじゃないっていうことは理解しています。でも万が一、災害があったときに安心材料が1つ手元にあるっていうのは、住んでいて気持ちが楽な部分もありますね。

永田:安心ということですね。

様(奥様):災害時は普通電気が使えないのに、エコワンソーラーを導入した家だけ電気が点いているっていう…こともあり得るわけです。我が家だけ使えればいいというわけでは無いですが、最低限の生活ができるってすごいですよね。

様(旦那様):人に勧めるとしたら、そんなところがポイントになりますね。

髙橋:最近は地震や自然災害の無いこちらの地域でも、内陸型では世界最大級と言われている130年前の濃尾地震や、消された地震と言われている戦時中の東南海地震や三河地震(どちらも震度7クラス)が発生してますので、大きな地震が来たら長期間の停電と合わせて相当な被害が出るんではないかと思います。

永田:お年寄りや乳幼児のいる、またペットのいるご家庭は、災害の時は更に大変そうですよね。避難所生活は大変でしょうし、住み慣れたところで暮らし続けられる、自分でエネルギーが作れるってすごいことだと思います。リク君(N様の愛犬)も安心ですね!ところで、今後どういう暮らしをしていきたい、といったご展望はありますか?

これからの「エコワンソーラーのある暮らし」

様(奥様):もともとスローライフみたいのが好きで。薪を割って畑をやって…晴耕雨読みたいな生活が好きなので、早く仕事を引退してそうしたいですね(笑)。

  

永田:すでに実践中ではありませんか?家庭菜園や薪ストーブもありますし、電気がなくても何とか暮らせそうですね(笑)。

様(旦那様):でもね、問題は夏ですよ。

永田:確かに、夏はエアコンが必要ですね。

様(旦那様):今って蓄電池もあるんですよね?昼間、蓄電しておいて夜使うという方法もあるんでしょう?

髙橋:あるにはありますが、まずエコワンソーラーに関連して今後予定していることとして、エコワンソーラーの白い停電対策ユニット(APFユニット)に、電気自動車(BEV)やプラグインハイブリッド(PHEV)から電気を取り込む機能をつけようか、という計画はあります。

様(旦那様):BEVを蓄電池代わりにするということですね。

髙橋:そうですね。今家庭用で売られている置き型のリチウムイオン蓄電池は我々からすると制御部分が甘いという評価をしています。春ぐらい(2022年4月)に、福島県でリチウムイオン蓄電池を置いていたお家が火事で1軒丸ごと燃えてしまいました。けどこういったニュースって絶対大々的に報道されません。なんでなんですかね(意味深)。。
またBEVやPHEVの方が、いわゆる電費がいいので、そこから取り込む形ですね。制御系は鉛バッテリーですので安全ですし。
また、もしエアコンを動かすならエアコン専用だけの回路にするという風にやらないと、やっぱりいざというときに他で絶対使っちゃいますよね、人って。
例えば照明なんかは全然何とかなります。LED の突入電流なんて対策しないといけない大事な要素ですが、LEDは停電時に絶対に点けない方が良いです。充電式のLEDランタンとかで十分。

永田:LEDというと省電力でエコなイメージを持っている人が多いと思いますが。

 髙橋:一軒家って昔は100Vで40Aとか50Aとかで良かったんですけど、200Vじゃないと電力が足りなくて動かせない家電(機器)が出てきたり、「これからはLED を推奨していきましょう。白熱電球はやめましょう。」という指針※がでて、そこを境目に、今はもうほとんど10キロ契約になっちゃいましたね。
電力会社も10キロまでだったら基本料金一律みたいにやっちゃうから、電気屋さんも「大きい方にしとけば、ブレーカー飛ばないだろう、停電しないだろう」みたいな…。でもそれって LEDの存在が大きい。
停電しないようにって、みんな10キロ契約するんですけど、10キロ契約しちゃうと、電力会社はその契約分の容量を送らないといけない責任があるんで、それが翻って結果として電気代が上がっていくっていう…。
(※2008年、政府が白熱電球をやめて省エネ電球に置き換えようという指針を決定)

様(旦那様):うちも10キロなんですけど、なんでこんなに高いのと思ってたんですよ。8キロでも6キロでもいいのにって。前は50Aですよ。倍も要るのかって。

髙橋:電気屋さんは、と言うより元請けの工務店さんに責任がありますね。「ブレーカーが落ちた、停電した」って後から電話かかってきてもあれだし、10キロまで基本料金一緒だったら10キロで良いやってやっちゃう人がほとんど。もちろんそれだけ電気が必要ですって根拠になる資料は出すんですけど。

様(旦那様):中部電力に聞いてみたんですよ。「10キロもいらんのだけど、どうなってんのこれ」って言ったら、「8キロに 落としても何百円しか違わないですよ」っていうから、確かに「まあいいかな」ってなりました。

永田:でも、そういうご家庭ばかりを増えてくると、電力会社としてはそれ維持していくためには、コストを上げていかざるを得ないということですかね?

髙橋:契約容量に合わせてたら、電線が太くなる・家に入ってくる電線も太くなる・発電所で作る電気も多くなる訳ですから、全部コストに跳ね返ってきます。

永田:ちょっと話を戻して、先ほど蓄電池の話がありましたが、持ち運べる「パーソナルエナジーポータブル」という商品もあるんですよね。

髙橋:はい。国内で唯一、船でも飛行機でも電車でも持ち運び可能なポータブル電源です。今は医療機関や設備保全用に工場からの問い合わせが多いですよ。
特に眼科、歯科、皮膚科、美容整形外科などで使われる医療機器ってかなり高額で医用機器専用の電源が必要なんですが、医療用のUPS(無停電電源装置)では数分しか持たないところを、パーソナルエナジーポータブルに繋いでると、繋いでいる機器にもよりますが約3時間持ったりします。

様(旦那様):車のバッテリーに使うこともできます?

髙橋:そのままは難しいですが、同じバッテリーを採用している欧州車はありますよ。エコワンソーラーにも採用可能ですので、5年に1回のバッテリー点検時に交換するのも良いかもしれませんね。

永田:本日は長時間ありがとうございました。個人的にもこれからの暮らし方の参考になりました。とっても素敵なお宅なので、この後エコワンソーラー以外もいろいろ見学させてください。

様ご夫妻:どうぞどうぞ!

■ あとがき

今回、建築士としての知識と経験もお持ちで、これからの暮らしにエコワンソーラーを取り入れることを決められたN様ご夫妻からお話しを伺うことができ、あらためて「エネルギーを自分で作ることができるメリット」の大きさを実感しました。導入後の感想として「意識が変わった」という言葉が印象深かったです。
私自身は、2016年に開発者の粟田さん※の講演イベントで「オフグリッド」という言葉・概念に出会いました。今回、一般住宅での導入事例を間近で拝見し「オフグリッドな暮らし」がぐっと身近に感じられるようになりました。ありがとうございました。
Let’s OFF GRID.
日本中、個人も企業も光熱費の高騰で悩ましい昨今、さらに身近なところから拡がっていけばいいなと思います。

※慧通信技術工業株式会社 代表取締役。スマートメーターやパーソナルエナジー、エコワンソーラーの開発者。「オフグリッド」の生みの親でもある。

インタビュー取材担当 永田るり子

マーケティング支援を得意とする経営コンサルタント。ポイント・フォワード(株)代表取締役。2022年、事務所併設の自宅リフォームにあたりBCPの観点からもエコワンソーラーを導入。エコワンソーラーは、風呂給湯のほか、事務所の通信機器やPCの無瞬停環境づくりにも活用している。

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