トークライブ書き起こしvol.4 粟田隆央①『パーソナルエナジー誕生秘話』

2018.05.19 ライブ書き起こし 管理人

【 粟田 隆央(あわた たかお)氏 略歴 】

1968年兵庫県生まれ。慧通信技術工業株式会社 代表取締役。2006年姫路市”ものづくり奨励賞”受賞。2008年日本で初めて「スマートメーター™」を開発。2011年独立電源システム「パーソナルエナジー」を開発。2016年神戸市”神戸発・優れた技術”を持つ企業として認定。日本における電気通信業界のテクニカルリーダー的存在。

慧通信技術工業株式会社HP

 

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昔は日本もオフグリッドが当たり前だった

初めまして。ゆる~く始まってゆる~く終わろうと思います。粟田と申しますどうぞよろしくお願い致します。寒いんでちょっと熱燗いただいております。

今日は「オフグリッドを聴くオフグリッドライブ」という話となっているようなんですが、世界ではオフグリッドというと普通なんですけど、日本でオフグリッドを言い出したのは恐らく私が最初で、こういう装置を作ったのも私が初めてなんですが、何でオフグリッドを始めたかと言う話の前に、最近オフグリッド・・オフグリッドって意味わかりますか?

最近オフグリッドがブームでして、今年に入ってベッキーさんが芸能からオフグリッドされまして、続いて野球界からは清原選手が、社会からオフグリッドされまして、最近では政界からオフグリッドされた育休休暇の不倫の方もいらっしゃって、どうも何かオフグリッドがブームだと言われています。

オフというのは離れるということなんですけど、グリッドというのは網、ネットワークとか網とかのことなんですが、網から離れるということでオフグリッド。グリッドに属しているのがオングリッド。

もともとオフグリッドというのは特別なものではなくて、グリッドができたのはつい50年の話でして、50年前はみんなオフグリッドが当たり前で薪とか買ってきて暖をとったり電気もそんなにいっぱいあるわけじゃなくて、すぐに停電するようなショボい電気がピロピロッとひかれていたとかいうような状況だったわけですが、何か今やもう右見ても左を見ても電気が当たり前のようになっていまして、電気が止まると「何で止まるんだ」みたいなお叱りを受けたりするわけですが、よくよく考えたら日本に電気ができたのって100年も、たかが100年も経ってなくてですね。

私が今会社を営んでいる神戸なんですが、神戸に京橋っていう橋がありまして。結構有名な橋なんですけど。明治維新の時に勝海舟が海軍操練所と言って坂本龍馬なんかの軍艦の訓練をしていた場所がうちの会社のすぐそばなんですが、そこに京橋という橋がありまして、元々そこにガス灯、橋の灯りをとるのに昔は灯りがガスだったんですね。

ガスライトを電気に変えたのが日本の電力会社の始まりと言われています。その時は「神戸電力」と言っていまして、だいたい100Wくらいの電気を供給する、その橋に灯りの電気を供給するためにできたのが今の関西電力の土台になっています。

なので、もともとは神戸の市役所の一部門が水道局と同じような感じで、電気を配るというところからスタートしていまして。なので今は筆頭じゃないですが、関西電力の第二位の株主が神戸市になっています。

何でかと言うと関電は神戸市からできた会社ということなので、だいたい他の電力会社も似たような経由をとっているんですが、今沖縄電力を入れて10個の電力会社があります。

何で10個なのかと言うのはまた後で話をするんですが、とにかく北海道から沖縄まで10個の電力会社があって、ここでは名古屋に本社がある中部電力さんから皆さん電気を毎日買って電気料金を払っているという状況です。で、電気が別に悪いわけでも何でもないですけど。

もともと自然エネルギーにもエコにも興味がなかった

もともとオフグリッドを始めるきっかけになったのは、2011年1月27日の神戸新聞の記事なんですが、この時まだ東日本大震災も原子力の事故も起こっておりません。

もともと私はですね、自然エネルギーに全く興味もないし、エコなんて全然さっぱり興味ないし、酒飲めて楽しく暮らせればいいかなぁなんて感じでやってたわけなんですけど。

とあることから某ハウスメーカーにOEMの製品を作っていまして、ひょんなことから全国で300軒の家に太陽光パネルと当社はスマートメーターという電気を測る装置を納入してですね、そのデータを3年間取得すると、2008年から2011年までやったんですけど、やっていましたらぼーっと数字を見ていたら何と作った電気と使った電気ってほとんど一緒ということがわかりました、300軒で。

ということは、もしかして電気を買わなくても暮らせるんじゃねえかと素朴な発想で考えたわけです。ところがうちの社員、結構固い人が多いので「社長何を言っているんだ?」「そんなものを作っても売れるわけがない」という感じで誰も協力してくれなくて、しょうがないので一人でコツコツ作っていたわけなんですが。

祝島

そんなこんなをしている時に、これはスマートメーターで太陽光を測る、あるいは電気の消費量を測るという事業で、山口に祝島という島がありまして、太陽光を測っている中でISEPの飯田哲也さんと仲良くなって「電気を自給できんかな?」と面白そうな話だったので、「じゃあ協力しますよ」ということで、その祝島という島に電力メーターをつけて測ってみようかということで始めたのがこの記事になっているんですけど。

行ってみて、全くその自然エネルギーとかエコとかCO2とか温暖化とか興味が全然なかったんですが、この島が面白い島で。70とか80のおじいちゃんおばあちゃんしかいないんですけど、毎週月曜日の朝6時に原発反対という旗を持って町内をこうやってぐるっと一周周って帰ってきてお茶飲んで帰るっていう島でして。

何でその原発反対って言っているかというと、海峡を挟んだ向こう側に中国電力が無理無理に原子力発電所を建てようとしていて、その建てるのが反対だけじゃなくて、海の漁業権というのがあるんですけど、「6億で海を売れ」と言われたんですが、結構根性のある人が多くて「オレ達の海を金なんかで売れねぇ」と突っぱねて30年もそんなことをやっているということで色んな話を現地で聞いて。

あぁなかなか根性が座った人たちがいるな、面白いなぁと思って「じゃあ力を貸しますよ」ということで始めてみたものの、この時に電力会社がどういう組織なのかとか、ものすごい力を持っていて電力会社に逆らうことはどういうことなのかと思い切り痛感をさせられるわけです。

この祝島がきっかけになって、電気は買うものではなくて作って自分たちで暮らしてみたらいいんじゃないの?という素朴なところから、この「パーソナルエナジー」というものができました。

別に誰かが作ってくれと言ったわけでもなく、これが売れるからと作ったわけでもなく、こうなったらいいなと思ったので作りました。

 

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