【BCP対策】長時間停電でもエアコンを止めない!避難所・社会福祉施設を守る空調の災害対策とは
2025.07.28 社会福祉施設 避難所 空調設備 法人 停電対策 ブログ 管理人
近年の夏は、観測史上最も暑い夏を更新し続けるなど、もはや「酷暑」が常態化しています。このような状況で懸念されるのが、台風や地震などの自然災害による長時間の停電です。
もし、真夏に電力が途絶えてしまったら。
商業施設やオフィスはもちろんのこと、特に多くの人々が身を寄せる避難所や、体温調節が難しい高齢者が生活する介護施設、そして私たちの自宅において、エアコンが停止することは、深刻な熱中症リスクに直結し、時には命に関わる事態を引き起こしかねません。
「停電は仕方ない」と諦めていませんか?
実は、適切な設備を導入することで、停電時でもエアコンを稼働させ続けることは可能です。
本記事では、エネルギーソリューションのプロフェッショナルである株式会社Reが、企業のBCP(事業継続計画)担当者様、施設運営者様、そして防災意識の高いご家庭に向けて、長時間停電時でも人々の命と健康、そして快適な環境を守るための具体的な方法を、業務用・家庭用に分けて徹底解説します。
特に、停電に強い空調として注目される**GHP(ガスヒートポンプエアコン)**については、その仕組みからメリット・デメリットまで詳しく掘り下げていきます。
> この記事を書いた会社:株式会社Re
> 私たち株式会社Reは、自家消費型太陽光発電や蓄電池、GHP(ガスヒートポンプエアコン)など、お客様の状況に合わせた最適なエネルギーソリューションをご提案しています。調査から設計、施工、メンテナンスまでワンストップで対応し、お客様のBCP対策・コスト削減・環境貢献を力強くサポートします。
なぜ停電でエアコンは止まるのか?基本の理解
対策を考える前に、なぜ停電でエアコンが使えなくなるのか、その理由を簡単におさらいしましょう。
一般的なエアコン(EHP:電気ヒートポンプエアコン)は、全ての動力を電気で賄っています。室外機の**コンプレッサー(圧縮機)**を電気モーターで動かし、冷媒を循環させることで、室内の熱を外に逃がし、涼しい風を送り出します。
つまり、電力供給が止まれば、コンプレッサーをはじめとする全ての機能が停止してしまうのです。特に、起動時には大きな電力(突入電流)が必要となるため、小規模な電源では動かすことすら難しいのが実情です。
この「電力への完全な依存」こそが、災害時におけるEHPの最大の脆弱性と言えます。
【業務用】避難所・介護施設向け|停電でも空調を止めない3つの方法
多くの人々が集まる施設では、空調の停止は許されません。ここでは、業務用エアコンを停電時でも稼働させるための代表的な3つの方法を、それぞれのメリット・デメリットと共に詳しく解説します。
方法1:非常用発電機 × 電気エアコン(EHP)
最も一般的な方法が、既存の電気式エアコン(EHP)と非常用発電機を組み合わせる方法です。
* 仕組み
停電を検知すると、自動または手動で発電機が起動し、施設内の空調やその他必要な設備に電力を供給します。
* メリット
* 既存設備の活用: 現在使用しているエアコンをそのまま利用できます。
* 汎用性の高さ: 空調だけでなく、照明や通信機器、冷蔵庫など、他の重要設備にも電力を供給できます。
* デメリット・注意点
* 燃料の備蓄と管理: 発電機を長時間稼働させるには、大量の燃料(軽油、灯油など)を備蓄し、定期的に品質を管理する必要があります。燃料の劣化や、災害時に補給が困難になるリスクがあります。
* 騒音・振動・排気: 発電機の稼働中は大きな騒音や振動、排気ガスが発生するため、設置場所は周辺環境への配慮が必須です。特に住宅地に近い施設では問題となるケースがあります。
* 高出力が必要: 業務用エアコン、特に複数の室内機を同時に稼働させる場合、非常に大きな出力の発電機が必要です。エアコン起動時の突入電流も考慮すると、想定以上の容量が求められ、導入コストが高額になります。
* 定期的なメンテナンス: 法令で定められた点検や、エンジンオイル交換などの定期的なメンテナンスが欠かせません。
【専門家の視点】
非常用発電機は有効な手段ですが、業務用エアコンを複数台動かすとなると、発電機の規模はかなり大きくなります。施設の電力負荷を正確に計算し、最適な容量の発電機を選定することが重要です。株式会社Reでは、こうした詳細な電力負荷調査に基づいた、無駄のない発電機選定のサポートも行っております。
方法2:【停電時の切り札】GHP(ガスヒートポンプエアコン)の採用
ここからが本題です。停電対策として、今、最も注目されている選択肢の一つが**GHP(ガスヒートポンプエアコン)**です。
GHPは、その名の通り「ガス」を主な動力源とするエアコンです。
* GHPの仕組み
一般的なエアコン(EHP)が電気モーターでコンプレッサーを動かすのに対し、GHPはガスエンジンでコンプレッサーを駆動します。これにより、消費電力をEHPの1/10程度、あるいはそれ以下にまで大幅に削減できます。
(画像:左はガスエンジンでコンプレッサーを動かすGHP、右は電気モーターで動かすEHPの模式図)
この「圧倒的な消費電力の少なさ」こそが、GHPが災害・停電に強い最大の理由です。
* GHPのメリット
* 圧倒的な停電への強さ
消費電力が極めて少ないため、比較的小型の発電機で空調を維持できます。機種によっては、車のバッテリー程度の電力で起動できるものもあります。
さらに「停電対応型GHP」を選択すれば、商用電源が停電した際に、接続された自立運転機能付き発電機からの電力供給に自動で切り替わり、空調を継続できます。
* LPガスとの連携で最強のBCP対策に
都市ガスが寸断されるリスクに備え、LPガスバルク貯槽を設置することで、エネルギーの供給ラインを二重化できます。LPガスは各施設に個別に設置する「分散型エネルギー」であるため、災害時の復旧が早いという大きなメリットがあります。これにより、「電力」と「都市ガス」の両方が停止しても、自立したエネルギー供給体制で空調を維持することが可能になります。
* 平時の大幅なコスト削減(電力デマンドカット)
GHPは夏の電力需要がピークになる時間帯の電力消費を大幅に抑制します。これにより、電力会社との契約の基本料金を決定する**「デマンド値(最大需要電力)」を下げ、電気の基本料金を大幅に削減**できる可能性があります。これは施設のランニングコストに大きく貢献します。
* 快適な暖房能力
ガスエンジンの排熱を暖房に有効活用するため、冬場でもパワフルな暖房が可能です。EHPのように、外気温の低下による能力の低下や、霜取り運転による室温低下の心配がほとんどありません。
* GHPのデメリット・注意点
* 導入コスト: EHPと比較して、機器本体の価格や設置工事費が高くなる傾向があります。ただし、後述する補助金の活用や、平時のランニングコスト削減効果を考慮すれば、十分に投資価値のある選択肢です。
* ガス配管工事: 新たにガス配管を引き込む工事が必要となります。
* 定期的なメンテナンス: 車のエンジンと同様に、エンジンオイルや点火プラグの交換など、定期的なメンテナンスが必要です。
【専門家の視点】
GHPは、まさに「攻め(コスト削減)」と「守り(BCP対策)」を両立する、非常に優れたソリューションです。特に、多くの人々の健康を守る社会的責任を負う避難所や介護施設、病院などにとって、その価値は計り知れません。
株式会社Reでは、お客様の施設の規模や用途、そしてBCP対策のレベル感に応じて、最適なGHPの機種選定から、LPガスバルク貯槽との組み合わせ提案、国や自治体の補助金活用サポートまで、トータルでご提案いたします。
方法3:自家消費型太陽光発電 + 大容量蓄電池
クリーンなエネルギーとして注目される太陽光発電と蓄電池を組み合わせる方法です。
* 仕組み
日中に太陽光パネルで発電した電気を蓄電池に貯めておき、停電時にその電気を使ってエアコンを動かします。パワーコンディショナの「自立運転モード」に切り替えて使用します。
* メリット
* 平時の電気代削減: 発電した電気を自家消費することで、電力会社から購入する電力量を減らし、電気代を削減できます。
* 環境貢献: CO2を排出しないクリーンなエネルギーです。企業の環境経営やSDGsへの取り組みとしてもアピールできます。
* 燃料の心配がない: 太陽光さえあれば発電できるため、燃料の備蓄や補給の心配がありません。
* デメリット・注意点
* 天候への依存: 当然ながら、夜間や曇り・雨の日には発電できません。数日間にわたって悪天候が続くと、蓄電池の電力を使い果たしてしまう可能性があります。
* 導入コスト: 太陽光パネル、蓄電池、パワーコンディショナなど、システム全体の導入には高額なコストがかかります。
* 必要な容量の見極めが重要: 業務用エアコンを長時間動かすには、相応の発電量(太陽光パネルの容量)と蓄電容量が必要です。安易に導入すると「停電時にエアコンが数時間しか動かなかった」という事態になりかねません。
* パワーコンディショナの出力: 自立運転時の出力(kVA)が、エアコン起動時の突入電流に対応できるかを確認する必要があります。多くのパワコンは自立運転時の出力が小さいため、業務用エアコンを動かせないケースも少なくありません。
【専門家の視点】
太陽光発電+蓄電池は、環境性と経済性を両立できる魅力的な選択肢です。しかし、BCP対策として導入する際は、施設の電力使用量やエアコンの消費電力を精密に計算し、「何日間、どの設備を動かし続けたいのか」という目的を明確にした上で、システムを設計する必要があります。
弊社では、詳細なシミュレーションに基づき、お客様のニーズに最適なパネル容量と蓄電容量をご提案し、後悔のない設備導入をお手伝いします。
【一般家庭用】停電時にエアコンを使うための選択肢
近年、個人の防災意識も高まり、家庭用の停電対策も多様化しています。
1.ポータブル電源 + 家庭用エアコン
最も手軽に導入できるのがポータブル電源です。
* メリット: 工事不要で購入後すぐに使え、アウトドアなど多様な用途に活用できます。
* デメリット: エアコンを動かすには、定格出力が1500W以上、容量も2000Wh以上といったハイスペックなモデルが必要となり、非常に高価です。また、稼働時間も数時間程度に限られるため、あくまで「一時しのぎ」と考えた方がよいでしょう。
2.家庭用蓄電池システム
太陽光発電とセットで導入するのが一般的です。
* メリット: 家全体の電力をバックアップできる「全負荷型」を選べば、停電時でも普段に近い生活を送ることが可能です。平時の電気代削減効果も期待できます。
* デメリット: 設置工事が必要で、導入コストは100万円以上かかることが一般的です。
* 注意点: 蓄電池には、家全体をバックアップする「全負荷型」と、特定の回路だけをバックアップする「特定負荷型」があります。エアコンを使いたい場合は、全負荷型を選ぶか、特定負荷型の場合はエアコンの回路をバックアップ対象に含める工事が必要です。
3.V2H(Vehicle to Home)システム
電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)のバッテリーを、家庭用の蓄電池として活用するシステムです。
* メリット: 一般的な家庭用蓄電池よりもはるかに大容量(EVのバッテリーは40kWh〜60kWh超)なため、エアコンを含めた家中の家電を数日間にわたって使用できる可能性があります。
* デメリット: V2H対応の電気自動車と、専用のV2H機器が必要です。
最適な停電対策の進め方|専門家への相談が成功の鍵
ここまで様々な方法をご紹介しましたが、「結局、うちの施設にはどれが合っているの?」と思われた方も多いでしょう。最適なソリューションは、建物の状況、現在のエネルギーコスト、そして「どこまでのBCPレベルを求めるか」によって大きく異なります。
失敗しない停電対策を進めるためには、以下のステップが重要です。
* 現状分析と目的の明確化:
* 現在の電気・ガスの使用量とコストを把握する。
* 停電時に稼働させたい設備(エアコンの台数、照明、その他)をリストアップする。
* 「数時間の停電に対応できれば良い」のか、「3日以上の長期停電でも事業を継続したい」のか、目的を明確にする。
* ソリューションの比較検討:
* 各方法(発電機、GHP、太陽光+蓄電池)の初期コスト、ランニングコスト、メンテナンス性、設置スペースなどを総合的に比較する。
* 専門家への相談:
* 現状と目的を伝えた上で、エネルギーの専門家に相談し、プロの視点から最適な提案を受ける。
株式会社Reは、単に製品を販売する会社ではありません。
お客様の現状と未来のビジョンを丁寧にヒアリングし、GHP、太陽光発電、蓄電池、非常用発電機といった多様な選択肢の中から、お客様一社一社にとって本当に価値のあるソリューションをオーダーメイドでご提案するエネルギーコンサルティングのプロフェッショナル集団です。
* 「施設の電気代が高い。BCP対策と同時にコストも削減したい」
* 「どのくらいの設備を入れれば、停電時にエアコンが〇時間動かせるのか、具体的なシミュレーションが見たい」
* 「国の補助金制度について詳しく知りたい」
* 「GHPのメンテナンス体制が不安」
このようなお悩みやご要望は、ぜひ私たち株式会社Reにお聞かせください。
現地調査から詳細なシミュレーション、最適な機器の選定、各種申請サポート、責任ある施工、そして導入後の手厚いアフターフォローまで、全てワンストップでご提供し、お客様の安心と事業継続を末永く支えます。
まとめ:未来への投資としての「空調BCP対策」
猛暑と自然災害が日常化した現代において、停電時に空調を維持する体制を構築することは、もはや「もしも」の備えではなく、事業と人命を守るための「必須」の設備投資です。
特に、社会的インフラとしての役割を担う避難所や介護施設、病院においては、その重要性は計り知れません。
今回ご紹介したように、停電対策には、非常用発電機、太陽光発電+蓄電池、そして消費電力が少なく災害時に真価を発揮する**GHP(ガスヒートポンプエアコン)**など、様々な選択肢があります。
それぞれのメリット・デメリットを正しく理解し、ご自身の施設や家庭に最適な方法を見つけることが重要です。
この記事が、皆様のBCP対策を考える上での一助となれば幸いです。
より具体的で、専門的なご相談は、ぜひお気軽に株式会社Reまでお問い合わせください。お客様の未来を明るく照らす、最適なエネルギーソリューションを共に見つけましょう。
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