“情報が生きているか”が避難所の生命線
2025.10.16 防災・BCP 自治体・公共(防災・減災) 通信・IT・ネットワーク 管理人
情報が生きているかが避難所の生命線
災害・停電・断線でも“通信”を止めない。――それが自治体の通信BCPの中核です。
能登半島地震や静岡県牧之原の竜巻災害では、長期停電と回線障害が重なり、庁舎・避難所の通信が広範囲で支障。 公式検証でも「情報収集・連絡・広域調整の遅れ」が課題として明記されました。 この記事では、事実の整理→共通課題→現実的な解決策(無瞬停×回線冗長×運用)→相談窓口の順でまとめます。
最近の災害で何が起きたか
公開されている情報から「どれほど連絡系が脆弱になったか」を押さえます。以下は要旨と参照リンクです。
通信“支障率”と“復旧日数”の事実
- 支障エリアの広がり: 石川県の公式検証報告書(本文)では、発災直後の情報収集や連絡の遅延が明記されています。 石川県「対策検証報告書」/ 内閣府WG・総務省資料
- 復旧の実時間: 牧之原の竜巻では回線障害が発生し、通信事業者の第1報から終報に至るまでの時系列が公開されています。 牧之原市公式/ 事業者発表(第1報)/ 事業者発表(終報)
- 代替通信の限界: 船上・車載・可搬基地局、衛星バックホール等の投入は迅速に行われたものの、道路寸断・燃料確保・人員制約のため初動の「すぐ・十分」は難しかったと整理されています。 総務省提出資料(報告書案)
現場で何が詰まったのか
- 単一回線依存: 固定回線1本のみ、または携帯1社のみで冗長化がない。
- 瞬断に弱い電源系: 切替瞬断でONUやルータが落ち、再起動・認証に時間を要する。
- 優先順位の未定義: 非常放送・電気錠・IP電話・無線・ネットの「優先順位」と「必要時間」が曖昧。
- 訓練の再現性不足: 臨時配線や仮設機器に頼る訓練だと、本番で再現性が低い。
多くの自治体に共通する課題(5分セルフチェック)
解決策|無瞬停 × 回線冗長 × 運用
外部支援(公助)は「来たら心強い」が、来るまでの初動を保証するのは自前の一次系です。 また、UPS(無停電電源装置)は常時負荷で運用してこそ確実に守れます。よって、衛星インターネット(例:Starlink)の 常時活用または固定回線とのデュアル活用(自動切替)を前提に設計します。
スターリンクの“常時活用/常時待機”という考え方
- 常時活用: 通常時から衛星回線をWAN2として稼働。トラフィックの一部を常に流し、障害時も切替を意識させない。
- 常時待機: 平時は固定回線を主、衛星は待機。ただし自動フェイルオーバー(健康監視・経路検知)を必ず設定。
- どちらもUPS保護が前提: ONU/ルータ/デュアルWANルータ/PoEスイッチ/APを無瞬停で守る。
S/M/Lでの現実的アーキテクチャ(例)
- S:連絡系最小(分館・仮設避難所)…IP電話・非常放送・ルータ・APをCVCF UPSでまとめて保護。セルラー/衛星の二重化。
- M:庁舎中枢+避難所…VLANで庁舎中枢/避難所/来訪者を分離。PoE集約、デュアルWAN自動切替、配線の標準化。
- L:広域多拠点…各拠点に可搬UPS+衛星を分散配置。現場機材を持ち込む応援部隊とも親和性が高い。
可搬型大容量UPS『パーソナルエナジー・ポータブル』で“無瞬停”を標準化
パーソナルエナジー・ポータブルは、常時インバータ給電方式で、切替時も電圧・周波数を安定供給。 非常放送・電気錠・IP電話・無線・ネットをまとめて保護し、設計は「合計kW × 希望運転時間 × 係数(1.7)」で即算出。 本体0.612kWh+1.02kWhモジュール最大49台=約50kWhまで拡張可能、運用時間に合わせて“時間を足す”設計が可能です。
また、可搬型ゆえに拠点間の融通(パワーシェアリング)が容易。庁舎だけでなく、学校・体育館など避難所候補への分散配置にも適します。
相談実績と体制
- 県外行政: ポータブル電源のクリーンセンター受入・適正処分・再資源化に関する相談実績あり。
- 医療機関(静岡県中部): 牧之原の榛原総合病院における停電対策のご相談対応実績あり。
- 対応範囲: 設計・調達・導入・訓練・運用設計まで一気通貫。オンラインでの初回ヒアリング可/全国対応。
まずは現状を可視化する
図面・対象機器(優先順位)・希望運転時間のメモがあれば、初回たたき台は最短1営業日で提示可能です。
わたしたちの想い
子供たちのために—次の世代へ、胸を張って渡せるエネルギーを。