トークライブ書き起こしvol.12 Q&A③
2018.06.09 ライブ書き起こし 管理人
(優)・・田中優氏 (粟)・・粟田隆央氏 (髙)・・Re 髙橋
(粟)というか、さっき中国電力の資料を見せなかったんですけど、中国電力っていう山口県とか広島県の電力会社が1年間に作っている電気の量というのは、631億キロワットあります。じゃあ中国電力管内で使っている電気はいくらかというと571億キロワット。だからその差60億キロワットくらいの電気がどういうことかと言うと、無くなっているんですよ。作った電気引くことの使った電気、を損失分と言うんですが、これ中国電力のHPにも載っていますので、また帰って見てもらったら良いと思いますけど、何と60億ですよ。60億キロワットの電気がどこかにいっちゃっていると。
その631億キロワットの中のたった600万キロワット、1万分の1が自然エネルギーと言われているもの、ゴミみたいなものです。そのゴミみたいなもので、ゴミみたいな量で「世の中変える」とか言っている人たちがいるんだけど、現実見ろよと。
今ね、新幹線とか電車とか近所でもたぶんメガソーラーとか野立てのソーラーとかよく見るようになっているじゃないですか。こんなに目にするようになっていても、全電力供給量のたった1万分の1しか賄えていなくて、しかもそれは全部系統に流れていなくて、半分以上がゴミになって捨てられています。
そもそも、系統のバッファていう電力の誤差を埋める範囲にしか再生可能エネルギーは接続できないと言われていたんだけど、実際接続してみたら、5%どころか1万分の1だから何パーセントですかね。
(優)0.01%ですね。
(粟)さすがです!
(優)いえいえ(笑)
(粟)0.01%で許容限界を超えているんですね、今社会として。電力インフラとして。0.01%で許容限界を超えているものが、どうやって世の中を変えられるの?もうちょっとみんな現実を見たら?数字をちゃんと見ようよ、現実を見ようよ。こんだけ山ほど太陽光があるのに、1万分の1でしかも半分捨てられていて、それでどうやって世の中変えられるの?っていうところを、私はすごく言いたい。
(優)そしてもう一つがさ、質が落ちるんだよね。
(粟)はい。
(優)それがすごく問題だよね。
(粟)ひとつその太陽光発電に関して言うと、我々も売っていますから片棒を担いでいる部分はあるんですけども、インバーターという直流を交流に変換する装置が必ず入っていて、そこに高調波という、まず第一次から第十三次までという難しい話をしますけど、電気の中にノイズがのります。太陽光発電の近くにはこの高調波が非常に多く発生するわけですね。ひずみ率っていう形で出るんですけども。発電所近くの電気機器は悪影響を受けます。で、ひどい時は壊れます。ですから、太陽光発電所がお近くにあるご家庭とか工場とかっていうのは電気の質がものすごく悪くなっています。その悪い電気でも質の良い電気でも1kWの値段は一緒です。
(優)それで考えていくとさ、要は使い方を間違えたんじゃないの?このいわゆる自然エネルギーっていうものを。
(粟)あのね、社会民主主義っていうかドイツがだいぶ何か頭がおかしくて、ドイツだとか訳わからないことを言う人がいるじゃないですか、市民電力だとか。お前ら行って見たか?ちゃんと。システムを。どうなっているかドイツが。ドイツって風力発電は確かにインフラとして貢献しているんですよ。太陽光発電は貢献しているか?ってしていません。全くしていません。
Qセルズってドイツ最大の太陽光メーカーが破綻するんですけど、これはファンドが引き上げたことによって破綻しちゃうんですけど、やつらが何をやったかというとメガソーラー、日本の規模のメガソーラーじゃなくて、ドイツのメガソーラーは20メガワットとか100メガワットという巨大なんですよ。ものすごく高圧送電して巨大なソーラーを作ってそれを系統に流入するんですが、さっき言ったようにドイツはヨーロッパのグリッドって全部つながってまして、ドイツの電力量というのは東京電力の消費量と一緒なんですよね。日本で言ったら、たかが東京電力の分だけの電気が。東京で見たらわかるけど、関西電力とか中部電力とかと連携してグリッドってつながっていますよね。ドイツも一緒でフランスとかスペインとかオランダとかとつながっていて、グリッドのバッファを共有しているから平準化していたかと思えばそうではなくて、もうドイツの系統がいっぱいなんですよ、許容量が。
で今何が起こているかというと、ドイツの電気料金はすごく上がっていて、パーソナルエナジーというのはソニーエナジーデバイスというところのリチウムを使っているんですけど、ヨーロッパでソニーの電池がバカ売れしています。ヨーロッパでは特にドイツ。何に使っているかというと今ドイツは電気を買うより作った方が安いので、これが家に普通に20個とかあります。
(優)ほんとうに!?へぇー!
(粟)それで再生可能エネルギーだとか言っている人たちがいるんですが、だから行ってお前ら見て来いと。何だったらオレ連れて行ってやるから、お金は自分で払ってよ(笑)説明してあげるからちゃんと行って見て来なさい現実を、という風によく言っています。
(会場 Q1)自分の家のことで恐縮なんですが、太陽光発電を取り付けようと思って業者さんに聞いていたんですけど、この家は陰だからダメと言われてこの5年くらいは放置してあるんですが、パネルのそういう日が当たらないところでも良くなったとか性能が向上していることはないのでしょうか?
(粟)基本、直射日光が電気に変わるんですけども、反射光と言って例えば雪国で雪で反射して発電はします。太陽光パネルには結晶系と化合物系の2種類があるんですけれども、化合物系の太陽光パネルであれば多少の陰でもピークでは発電しませんけども3分の1とかだったら発電します。
(優)例えば3分の1ということは面積を3倍つければ同じってことになるので、だから面積を広く使っちゃえばいいっていうことなんですよね。
(粟)ソーラーフロンティアっていう。
(優)ソーラーフロンティアいいねぇ。それでさ、あとはとにかく太陽光発電パネルって今でも高いと思われているかもしれないけど、ほんの10年ちょっと前は今の10倍していましたので、だからかなり安くなったんですよ。10分の1まで下がってきたのにそれを3倍つけるって言ったって、まだかつてと比べたらずっと安いので、だからお金の問題ではなく考えてもらう方がいいのかもしれない。たまたますっごく日当たりが多かったらラッキーという感じかなと思います。
(会場 Q2)CO2のことです。当然パネルをつければ発電所の分はないんですけども、そもそもパネルを作る分のCO2がどれくらいでペイできるのか、そもそもペイできるのか?
(優)エネルギーペイバックタイム、作る時のエネルギーに消費したエネルギーを何年で取り戻すかという計算式なんですけど、少し古いデータですが、普通の結晶系だと2年、というのが今のデータで出ています。そのデータ古いので、今はもっと大規模化して効率が上がっているので、1年半くらい使えば、作った時のエネルギーは取り戻せるレベルかなと。今言ったように化合物系はもっと短くて1年かからずにエネルギーを取り戻しますので、そういう意味ではエネルギー的には2年を超えれば問題ないという風に思っていいんじゃないかと思います。
(粟)余計なことなんですけど、2020年問題と言われているんですけど、結晶系のパネルが廃棄できないんですね。だからその発電しなくなったあとにどうするか、というのが今環境省もすごく困っていて、今から太陽光パネル専門の産廃屋を作るとぼろ儲けできるかもしれません。
(優)ただ捨てられるのは2020年で、ドイツではすでにリサイクルメーカーができていて、そこのリサイクルメーカーが言うのは「オレのところに持ってきてくれれば全部リサイクルするぞ」と。
(粟)アメリカでもやっていますね。ファーストソーラーなんかは、PVリサイクルという世界的にもネットワークが出来ているんですけど、日本だけそれが放置されていて、髙橋さんがたぶんやって頂けると思うので、ちゃんとその後のことですよね、たぶんこれだけメガソーラーがあるとすごい廃棄量が出ると思いますので、そこも含めてコストだと思います。
(優)メガソーラーの方は20年間売電できちゃうので、2009年にこのFITの仕組みが出来たので20年後だと2029年、だから家庭系が10年間しか買ってもらえないので2019年、それ以降あたりのところが焦点になる、というところだと思います。今リサイクルの施設を作ると閑古鳥が鳴いてつぶれますので少し待ってからやらないとというところですね。
(会場 Q3)太陽光発電は赤道直下でも使えるんですか?
(粟)ちなみに、緯度って赤道はゼロですよね。日本は39度とかになりますよね。だからパネルの角度を30度とか25度とかになるんですけど、赤道直下に行くと平たく置いたら太陽が当たって一番発電します。
(会場 Q4)熱に対しては大丈夫ですか?
(粟)全然大丈夫です。
(優)熱のせいで少し発電しなくなることがもちろんあるんですが、それについては水をかけるのが一番良くて、日本で設置する場合には自動で2時間に1回水をゃーっとかける。11時、13時、15時がいいんですけど、それでお水をかける仕組みをすると温度が下がって発電効率が上がるのと、最大の発電の妨げは汚れなので、それを落とすことができるのでそういう仕組みを作るといいですよね。
(会場 Q5)蓄電池とパーソナルエナジーの違いは?
(粟)パーソナルエナジーというのは独立電源と言いまして蓄電池ではありません。電池も当然積んでいるんですけど、電池の部分を売りにしているわけではございません。充放電させる装置、これ自体は独立電源と言って要は発電所です。もっと面白いものがあって電力自由化するでしょ?田中電力っていうのを作るんですよ。要は自分の家に電気を供給するための電力会社を作ってこういうのを経費で全部落としちゃうんですよ。
(優)なるほど!!
(粟)そうすると所得税が還ってきます。ミニマムな発電所だから経産省は文句言うだろうけど。こういう節税対策もあって、税金払うんだったらパーソナルエナジーを買おうぜって今言っています。
=====完=====
ーあとがきー
当日は前後2週間で唯一極寒の日になり、そんな中遠方よりたくさんの方々にお集りいただき、ありがとうございました。あれから2年が経ち、日毎に実感が強くなるのは、パーソナルエナジーを超える製品は無いということ。「大手メーカーがなぜ作らないの?」と聞かれますが、作らないのではなく作れない。経営リスクうんぬんありますが、そんなことより、例え同じ電池、同じインバーター、同じ筐体など用意しても、作れません。これは製品を取り扱う我々の経験から来る実感です。
パーソナルエナジーは、既存のグリッド(送電網)以上に、安全かつ高品質な電気の供給を実現しますが、使う側がその電気をあって当たり前と感じてしまった時に、電力会社から電気を買っているのと変わらなくなってしまいます。
使う側が、発電量や使用量、電池残量など共有して電気の使い方をコントロールし、自律的にオフグリッドをマネジメントできるようになって初めて、オフグリッドは完成します。だから消費者には向かない製品と言えるのです。
長くなりましたが、最後に、トークライブにご出演くださった田中優さん、粟田隆央さん、支えてくださったチームオフグリッドのみなさん、ご出店くださった方々、ありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。次回もしあれば、入場無料はあれど、投げ銭にします。
オマケ【 Re 髙橋聡一郎 略歴 】興味なかったらゴメンナサイ
1982年福井県生まれ。株式会社Re 代表取締役。2005年ハウスメーカー勤務時代に慧通信技術工業株式会社製「SAMOS®」を採用した物件を扱ったことからご縁がうまれる。東日本大震災を期にエネルギー業界へ。減りゆく髪と大きくなる子どもの成長に時を感じながら、日々オフグリッドの普及に奔走中。