大規模災害発生時に、旅館は一時避難所として“機能しない”と言い切れるこれだけの理由

2025.10.21 観光・宿泊 防災・BCP 停電対策 管理人

南海トラフ地震等の大規模災害時に旅館は一時避難所として機能するか|パーソナルエナジー・ポータブル×Starlinkで通信と重要負荷を72時間バックアップ

東南海・南海トラフ地震などの大規模災害発生時に、旅館は一時避難所として機能するのか?-”機能しない”と言い切れるこれだけの理由

結論:多くの旅館は“電源と通信”の要件を満たせず、そのままでは一時避難所として機能しにくい。

非常用自家発電設備があっても瞬停は必ず発生。給油が無ければ72時間の連続運用は困難になります。周波数・電圧の乱れは通信を止めてしまう可能性が高く、現実的には「通信+重要負荷」に資源を集中し、72時間を確実に守る設計が必要になります。

“機能しない”と言い切れる主な理由

  • 瞬停(0秒の停電)を回避できない:常用または非常用自家発電設備は起動に数十秒〜立ち上がるまでに必ず瞬停が発生し、館内の通信機器や他の機器はダウン。復旧のたびに人的リソースを奪います。
  • 燃料のボトルネック:72時間連続運転には相当量の燃料備蓄が必要。しかし消防法の指定数量(例:ガソリン200L/軽油1,000L)を超える備蓄は許可・設備・保安体制が必要で、旅館の恒常運用としてはハードルが高く、災害時は配送も滞ります。
  • 周波数・電圧の乱れ:発電機の負荷変動に伴う出力変動は、ONU/ルータ、POS、予約/決済端末、蓄電・制御盤、冷蔵設備などDX機器の誤作動の原因になります。定電圧・定周波数型UPSによる平滑化が前提になります。
  • 通信が切れる:光回線が断線・停電すれば、館内Wi-Fiは“電気があっても”外部と疎通不能。携帯網も基地局・バックホールが落ちれば不安定。衛星バックアップの用意がなければ避難情報・連絡・キャッシュレスは止まります。
  • 避難所要件とのギャップ:内閣府の避難所運営・生活環境ガイドは、トイレ・衛生・要配慮者対応・情報提供・運営体制など多岐の要件を示します。平時からの準備なしに、突発で旅館が満額対応するのは現実的ではありません。参照
重要:一部の旅館・ホテルは例外的に強いBCPを備えています。本記事は「一般的な旅館」を想定した電源・通信の現実論です。

現実解:で“通信と重要負荷”を72時間守る

「すべて」を動かそうとするのは現実的では無いため、まずは通信(ONU/ルータ/スイッチ/Wi-Fi/VoIP)と、冷蔵庫などの重要負荷を72時間だけ確実に守る。これが一時避難の最低限ラインです。

PEP:可搬型大容量UPS(切替時間0ms・安定給電)

  • 無瞬停:商用停止でも0msで切れない常時インバータ給電。DX機器を落としません。
  • 周波数・電圧を一定化:発電機の揺らぎを吸収し、IT/ネットワークにクリーン電源を供給。
  • 長時間連続:本体0.612kWh+増設1.02kWh×最大49=約50kWhまで拡張可能。運用に合わせて“時間を足し算”。
  • 非リチウム(AGM):熱暴走リスクが相対的に低く、ホットスワップ保守で止めずに継続運用。
  • 製品ページ避難所の通信BCPの考え方

Starlink:衛星でWAN冗長(光回線断でも外部とつながる)

  • 地上系が止まっても通信確保:避難情報、安否連絡、カード決済(オフライン対応と併用)が継続可能。
  • 設置・運用がシンプル:パーソナルエナジー・ポータブルのバックアップ系にまとめて給電し、72時間の独立運用へ。

必要容量の目安と設計フロー

設計式
合計kW × 目標運転時間[h] × 係数1.7
目標
通信+重要負荷を72時間

例(50室規模・最低限):

  • 通信一式(ONU/ルータ/スイッチ/Wi-Fi/VoIP):100W相当 × 72h ≒ 7.2kWh
  • 業務用冷蔵庫(平均200W相当):200W × 72h ≒ 14.4kWh
  • 照明・充電・館内放送など(平均140W・10h/日):≒ 4.2kWh
  • 小計 ≒ 25kWh → 係数1.7適用で ≒ 43kWh(温度・効率・余裕含む)

この場合、単純計算ではパーソナルエナジー・ポータブルの拡張で約40–50kWhクラスが必要になってしまいますが、発電機を「補助電源」として活用したり、車両や太陽光パネルを活用することにより充電↔負荷のハイブリッド運用かつコストを抑えた提案を行います。

導入ステップ(最短・省人化)

  1. 重要負荷の棚卸し:通信と“止められない冷蔵庫”等を特定。
  2. 設計:72時間の必要容量を確定。
  3. 設置:パーソナルエナジー・ポータブル+Starlinkを短工期で設置。復旧手順・動線を整える。
  4. 訓練:避難所運営チェックリスト(内閣府)と合わせて年1回の見直し。

よくある質問

Q. 発電機があれば十分では?

A. 起動遅延による瞬停、周波数・電圧変動、燃料補給の困難という3点がボトルネックです。定電圧・定周波数型UPSでの無瞬停・平滑化と、衛星回線による外部疎通の二段構えが必要です。

Q. 72時間も本当に必要?

A. 初動72時間は救助・物流が混乱する「魔の時間帯」。この間だけは通信と重要負荷を自立運用で守る設計が費用対効果に優れます。

Q. まず何から始める?

A. 無料の簡易診断で、負荷リストと概算必要容量を即日作成します。

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