ランサムウェア級に怖い“瞬断・瞬停” ─ 通信が止まればECも業務も止まる

2025.10.22 東京・大阪・名古屋 通信BCP BCP・停電対策 管理人

ランサムウェア級に怖い“瞬断・瞬停”|通信が止まればECも業務も止まる|通信BCP

ランサムウェア級に怖い“瞬断・瞬停” ─ 通信が止まればECも業務も止まる

東京・大阪・名古屋など都市部でも、瞬間の電源トラブルは起きます。守るべきは「データ」だけでなく「通信の連続性」。

今日からできる実装手順を提示します。

ランサムウェアで「受注・出荷」が止まる ─ 同じ帰結を生むのが“瞬断”

2025年秋、アサヒグループHDはサイバー攻撃で受注・出荷の一部停止を公表。アスクルはランサムウェア被害で受注・出荷業務を停止し、委託関係から無印良品のオンラインストアにも影響が及びました。LOHACO停止等の報道も。「受注・出荷・決済・顧客接点が止まると、売上や利益に多大な影響を及ぼす」ということです。

公的データが示す:都市部でも“瞬断・瞬停”は起きる

首都圏・関西では、一般送配電事業者が瞬時電圧低下(瞬低)の履歴・解説を常時公開しています。東京電力PG:瞬低の仕組みと履歴関西電力送配電:過去7日間の瞬低一覧瞬低とは(解説)

名古屋圏でも中部電力が送電線への落雷を原因とする広域の瞬時電圧低下を公表(2017/7/14)。対象は愛知・岐阜・三重・長野・静岡西部の広域でした。(出典:中部電力)

実被害の例として、2024年6月2日には関東一円の瞬間停電で東京ディズニーリゾートの複数アトラクションが自動停止。(毎日新聞)

歴史的には“四日市瞬低”(2010/12/8)で、半導体工場やコンビナートの操業停止・減産が報じられました。東芝リリース

UPS(無停電電源装置)があっても「止まる」場面 ─ ボトルネックは“電源品質”と“突入電流”

よくある停止ポイント

  • ルーター/ONU/L2SWの一瞬リセット → 事務所・倉庫の全通信が断(ECの受注API・WMS・決済端末が無応答)。
  • PBX/IP電話・コールセンターがリブート → 受電が不通、機会損失。
  • クラウド接続が瞬断 → 決済・在庫連携・基幹システムのトランザクションが破綻。
  • サーバ/産業PCがハング → 再起動・ジャーナル復旧で復旧に時間。

「UPSがあるのに落ちる」主因の例

  • ラインインタラクティブ等で切替遅延・波形歪み→ICT機器が再起動・誤作動。
  • 復電時の励磁突入(インラッシュ)電流でブレーカトリップ/リレー誤動作(※対策が別途必要)。
  • UPSがバイパス運転中に瞬断が発生→負荷停止(運用・保守時の盲点)。

対策の肝は、常時インバータ給電(CVCF)で“電圧・周波数を常に安定化”し、突入電流の制御・分割投入を設計に織り込むことです。参考:CVCFの役割(富士電機)励磁突入の基礎と対策インラッシュ対策の実務

解決策:通信を「止めない」ための実装ロードマップ

① 電源:CVCF×無瞬断×突入対策

  • 常時インバータ(CVCF)UPSを中核に(瞬低・瞬断時も波形を保持)。
  • 突入電流対策:重要負荷の分割投入/ソフトスタート/遅延タイマ設計。
  • サージ・雷保護とアース整備、配線系統の見直し(弱電/ネットワークは独立系)。

② 通信:二重回線+自動フェイルオーバ(可能なエリアでは)

  • 光回線+LTE/5Gまたは衛星(Starlink等)の冗長構成、デュアルWANで自動切替。
  • PBX/SIP・決済端末・WMS/EC連携の“優先トラフィック”にQoS。

③ 運用:定期フェイルオーバ試験と可視化

  • 月次の瞬断ドリル(UPS放電テスト・回線切替・再立上げ手順の訓練)。
  • 見守りPCにメールで通知(異常・SOC・切替履歴を自動通知)。

東京・大阪・名古屋での導入イメージ(例)

EC倉庫(WMS・自動棚・ハンディ)

ルーター/ONU/L2SW/無線AP/ハンディ親機をCVCFで一括保護。復電時はAP群を段階投入、WMSは先にL2SW→AP→端末の順に。通信は光+5Gのデュアル。

本社(受注・CS・決済)

PBX/SBC/コールセンター基盤をCVCF配下に。SIP優先でQoS設定、決済端末の回線冗長を必須化。UPSバイパス運用時の手順書を整備。

クリニック/小売(レジ・予約・クラウドPOS)

レジ・決済・予約端末とONU/ルータをミニCVCFでセグメント保護。LTEバックアップを自動切替。バックオフィスNASは遅延投入。

費用対効果:ダウン1時間の損失>対策コスト になっていませんか?

停止損失=(時間当たり粗利)×停止時間+復旧/再作業コスト+信用/機会損失
受注・出荷・決済が“ゼロ”になるリスクに対し、CVCF+通信冗長の投資は一度の停止で元が取れるケースが珍しくありません。見積時に粗利時給・品出荷遅延の影響を一緒に積み上げます。

参考・出典(外部リンク)

・アサヒGHD:サイバー攻撃の続報/ ・Reuters:アスクル受注・出荷停止、無印良品へ波及/ ・BI Japan:LOHACO停止
・中部電力:広域瞬低(送電線落雷)/ ・東京電力PG:瞬低の履歴と解説/ ・関西電力送配電:過去7日間の瞬低一覧
・毎日新聞:TDRで瞬間停電、アトラクション停止/ ・東芝:四日市瞬低から復旧(一次情報)/ ・CVCFの役割:富士電機/ ・突入電流の基礎:電気技術者講座

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