物流は“無瞬停×72時間無停止”で守る。WMS/ハンディ/無線/AP/PLCを止めない設計図

物流は“無瞬停×72時間無停止”で守る。WMS/ハンディ/無線/AP/PLCを止めない設計図
ランサムウェアだけじゃない。本当に怖いのは「瞬停・停電・通信断」。WMSが落ち、ハンディが沈黙した瞬間、入出荷は止まる。だから可搬型大容量UPS×CVCF=パーソナルエナジー・ポータブル(PEP)で“無瞬停×72時間無停止”。攻めのBCPで、予定通りの物流を守る。
なぜ物流は“瞬停”で詰むのか
物流現場は「情報が動くから物が動く」。数ミリ秒の瞬断でも、WMS/サーバ/スイッチ/無線AP/UTM/ルーター/ハンディ充電/ラベルプリンタ/PLCのどれかが落ちれば業務は停止。復旧は「電源再投入→認証→WMS再接続→再開」で数十分〜。瞬停1回=半日遅延は珍しくありません。
PEPで守る範囲(できる/できない)
できる(“無瞬停×72時間無停止”の対象)
- WMS/エッジサーバ、仮想基盤(小規模)
- L2/L3スイッチ、無線LANコントローラ、AP、ルーター/UTM
- ハンディターミナル充電器、ラベルプリンタ(発行量は抑制)
- PLC・セーフティリレー等の制御系(駆動は含めない)
- バックアップ回線(Starlink等)で通信を止めない
できない(または別手段推奨)
- コンベヤ/ソーター/AGV等モーターの駆動(発電機・系統復帰で対応)
- 冷凍機・空調など大型負荷(別系統/発電計画と組み合わせ)
初動72時間レシピ(モデル構成)
「情報系だけは止めない」ための現実解。非常時は緊急モードで不要AP/プリンタを間引き、消費電力を絞る。
| 機器 | 想定消費電力(例) | 備考 |
|---|---|---|
| WMS/エッジサーバ×1 | 500W | 1U小型/冗長電源片系運用 |
| PoEスイッチ×1 | 60W | AP/ハンディ最小限に給電 |
| 無線AP×10 | 120W | 12W×10(緊急時は半分に間引き) |
| ルーター/UTM | 30W | 固定 |
| バックアップ回線(Starlink) | 100W | 平均(状況で変動) |
| ハンディ充電器×10 | 100W | 10W×10(輪番充電) |
| ラベルプリンタ×1 | 80W | 発行集中時のピーク配慮 |
| PLC/セーフティ等(制御) | 150W | 駆動は対象外 |
| 合計 | 約1.1kW | 緊急モードで0.6〜0.9kWへ抑制 |
容量設計:必要kWhの出し方
必要kWh =(平均負荷kW)×(目標時間h)×(設計係数1.15〜1.3)
例)0.6kW × 72h × 1.2 ≒ 51.8kWh → 48〜64kWh帯で設計。
※実負荷・温度・充放電レートで調整。PEPは電池容量カスタム対応。
運用設計:切替・見守り・燃料計画
- 切替:常時インバーター(CVCF)で“無瞬停”。ATSは不要。
- 通信:二重化WAN(固定回線+Starlink)。固定死でもStarlinkでWMS継続。
- 見守り:見守りPCにメールで通知(電池残量/温度/異常)。
- 補給:発電機併用なら燃料72h分+24h予備。排気/換気/防音は別計画。
- 訓練:四半期ごとに緊急モード手順(AP間引き/輪番充電/印字バッチ化)を実動訓練。
体験談:現場からの3指針
- 指針1:「停電」よりも瞬停×復旧の繰り返しが最悪。システムが不安定化し、MTTRが跳ね上がる。
- 指針2:APの“間引き表”が命綱。ゾーン別に残すAPを決めておけば、数分で消費を30〜40%削減できる。
- 指針3:Starlinkは“見通し”がすべて。屋内設置で視界が欠けると帯域が揺れ、WMSが途切れる。
失敗談:現場でやらかしたことと改善策
失敗1:PoE予備ポート不足でAPが復帰できない
非常時のAP間引き後、復旧時にPoEが取り合いになり一部APが上がらず。
改善:PoEは本番+20%予備、非常用PoEインジェクタを1台常備。
失敗2:Starlinkを屋内仮置き→衛星切替でセッション途切れ
視界遮蔽で瞬断多発。
改善:屋外マスト固定+視界テストを導入、LAN側はセッション維持設定をチューニング。
失敗3:プリンタ常時稼働で電池を食い潰す
荷量ピーク時に印字連打で消費が跳ね、残量読み違い。
改善:印字を時限バッチ化、消費モニタの閾値にメール通知(見守りPC)。
非推奨:やってはいけない設計
- 動力系(コンベヤ/ソーター等)の抱き合わせ給電:情報系と同一UPSに載せない。駆動は発電機や系統復帰で。
- タコ足延長・100V雑配線:PEP専用コンセントの色分けと系統分離を徹底。
- 通信単系統:固定回線のみは不可。固定+Starlinkの二重化を基本。
- AP配置の属人化:図面・ゾーン表なしはNG。“間引き表”とMAC台帳を常備。
- 排熱軽視:UPS周辺の吸気/排気を無計画にしない。吸気温度管理と清掃ルーチン必須。
経営チェックリスト×現場手順
経営チェック
- 瞬停1回あたりの遅延コスト(労務・滞留・再配)を試算し回収年数で比較
- 初期費+5年TCO+想定停止回数(年)で費用対効果を評価
- 通信二重化(固定+Starlink)の年間費を「止めない価値」で判断
現場手順(配線と系統)
- 情報系はPEP専用コンセント色分けで誤接続を排除
- APはゾーン設計。緊急時はゾーン間引き表で即時削減
- ハンディ充電は輪番表運用。プリンタは時限バッチ
被害事例・参考資料(外部リンク)
よくある質問(FAQ)
コンベヤやソータの“駆動”もUPSで動かせますか?
PEPで守るのは情報・制御系。モーター駆動は消費が大きく、発電機や系統復帰との組み合わせが現実的です。
72時間、本当に通信を維持できますか?
固定回線停止時もStarlink等のバックアップ回線をPEPで無瞬停給電。無線APは非常時に間引き運用で消費抑制。
遠隔監視は可能ですか?
はい。見守りPCにメールで通知(電池残量/温度/異常)で運用可能(オプション)。
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