いつ来ても“止めない”――南海トラフ想定で中部の経営を守る電源設計

2025.11.04 中部経済圏 BCP・止めない電源設計 管理人

南海トラフ想定|中部企業BCPの要点(通信冗長・可搬型大容量UPS×CVCF)

いつ来ても“止めない”――南海トラフ想定で中部の経営を守る電源設計

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© Re 2025 執筆:株式会社Re|髙橋

まず結論:経営の前提は「止めない条件」を定義すること

中部経済圏の事業は、電力と通信が落ちた瞬間に売上・信頼・安全が同時に毀損する構造です。南海トラフ・東南海地震の議論は続いていますが、経営として重要なのは「脅威の正確な予測」よりも、平常時から“止めない条件”=運用要件を先に決め、実装しておくこと。この記事は、そのための最短ルート(要件→設計→実装→運用)を提示します。

メッセージ:「まずは命を守る」。そして余裕があって初めて支援に回れる。経営者の役割は、従業員・患者・利用者・生活者を守るために、BCPを可能にする設備投資を意思決定することです。

外部資料より:想定被害の視点と確認ポイント

数値は自治体・国の一次資料で随時更新されます。ここでは意思決定に効く指標を、差し替えやすい形で整理します(最新の一次情報で必ず確認してください)。

  • 電力(停電):内閣府「南海トラフ巨大地震の被害想定」。
    被災直後は広域かつ高率の停電を想定、その後数日〜1週間で段階的に収束。県別に差が大きく、浸水域・土砂災害域は長期化リスク。
  • 通信:固定電話・移動体の輻輳・不通。バックボーン損傷や停電が要因。異系統冗長が鍵。
  • 上水道:被災直後は広域断水、1か月後も一定割合で継続するケースあり。生活・製造に直撃。
  • 港湾・物流:主要港の岸壁・係留施設の多数被害を想定。港湾荷役停滞→広域のサプライチェーン遅延へ波及。
  • 運用情報:気象庁「南海トラフ地震に関連する情報」は確率の予報ではなく行動判断のための運用情報。平常時よりリスクが高まった際に公表。
  • 復旧方針(電力):中部電力PG「防災業務計画」。非常体制(第一次〜第三次)を定め、安全確認→段階復旧を基本に展開。

参考リンク:内閣府 防災情報気象庁中部電力パワーグリッド/ 各県の地震被害想定・地域防災計画。
※数値はシナリオ(地震動・津波・季節・風速)で変動します。必ず最新版でご確認ください。

“止めない条件”=経営要件(3点)

  1. 無瞬停で切れないこと(0ms):通信・制御・医療機器など瞬停に弱い機器は再起動=ダウンタイム。瞬断ゼロが前提。
  2. 通信を多重化して守ること:固定回線+モバイル/衛星(例:Starlink)の異系統で冗長化。
  3. 72時間の運用レシピ:給電・充電・補給・人の配置と手順を紙でも運用できる形で整備。

業界別:最低限落とせない機能と電源要件

医療・クリニック
  • 手術機器・電子カルテ・画像・無停電通信(院内/外部)
  • 要件:無瞬停0ms誘導負荷に強い/設備横の可搬&工事不要
介護・福祉
  • ナースコール・酸素/吸引・見守りシステム・通信
  • 要件:長時間化安全搬送夜間の静粛性
物流
  • WMS/ERP、ラベラー、PLC、無線AP、固定回線+冗長回線
  • 要件:無瞬停×モーター始動対応拠点内の機動配置
製造
  • ライン制御、圧空・ポンプ、品質記録、監視ネットワーク
  • 要件:誘導負荷の高い始動電流への余裕/拡張性
食品(HACCP)
  • 冷凍機・温度記録・受発注FAX/EC・照明最低限
  • 要件:長時間×外部給電取り込み帳票の継続
商業施設
  • POS/決済・非常放送・テナント通信・監視
  • 要件:無瞬停×決済維持階層別の機動展開
IT・金融
  • コアSW・仮想基盤・監視・決済系・回線多重化
  • 要件:独立電源×冗長回線ラック横の可搬性

実装レシピ:可搬型UPS『パーソナルエナジー・ポータブル(以下、PEP)』

PEPのコア価値(要点)

  • 無瞬停0ms:瞬断に弱い機器(通信/医療/制御)を落とさない。
  • モーター/誘導負荷に強い:コンプレッサ・ポンプ・冷凍機・シーラー等の高い始動電流も安定。
  • 長時間化&拡張:モジュール拡張〜約50kWh、ホットスワップで連続運転を設計。
  • 外部給電の多様性:太陽光・発電機・車載DCを取り込み、運用で72h以上を狙う。
  • 可搬・工事不要:現場へ即時持ち込み、復旧現場や病棟/フロア単位での展開が容易。
  • 遠隔監視に将来対応/運用で補完:見守りPCにメールで通知。
  • 5年無償保証導入後5年、無故障・クレームゼロ*(脚注参照)。

大規模据置UPSや発電機と異なり、PEPは「自律・分散・オフグリッド」型の設計思想。集中の効率に制御を足すことで、局所停止が全体停止に波及しない体制をつくります。

72時間運用の考え方(構成例)

  1. 負荷リスト化:「落とせない機器」に★印を付け、合計容量と始動電流を把握。
  2. 電源計画:PEP本体+拡張モジュール構成を決定。初動はPEP、以降は太陽光/発電機/車載DCで充電
  3. 通信計画:固定回線/モバイル/衛星の3層冗長。拠点ハブはPEP直下。
  4. 運用手順:紙ベースで誰でも回せる72hレシピ(チェックリスト+タイムライン)。
対象 外科手術を行うクリニック/物流センター小規模ブロック/中小工場の制御島など
電源 PEP本体(無瞬停)+拡張モジュール/外部給電:太陽光・発電機・車載DC
通信 固定回線+モバイル(5G/LTE)+衛星(例:Starlink)
運用 24h×3日:担当者ローテ、充電サイクル、消費抑制、帳票・記録

費用対効果の見方(総コストで比較)

「高い/安い」でなく、落ちた時の損害額5年の総コスト(=総保有コスト/TCO)で比較します。

  • 回収年数:停止損失の回避額(円)でリクープ年数を算出。
  • 年間効果額(円):停止回数×一回当たり損害額で試算。
  • 5年総コスト:導入・運用・保守・人件・教育・停止リスク低減を合算。
  • 必要に応じてB/C(効果/費用比)を提示。

次の一歩

私たちの想い

子供たちのために-次の世代に、胸を張って渡せるエネルギーを

参考資料

 
  1. * 対象:ポータブルパワーHPP/HBB。期間:2020年9月〜2025年10月。当社確認による。「導入後5年間における不具合報告・交換・クレームは0件」。

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